講演情報
[P6-1-1]鼠経ヘルニア嵌頓を来したS状結腸癌の1例
髙柳 雅, 井原 啓佑, 河野 貴博, 根本 鉄太郎, 西 雄介, 渋谷 紀介, 蜂谷 裕之, 石塚 満, 中村 隆俊, 水島 恒和 (獨協医科大学下部消化管外科)
【緒言】
大腸癌と鼠経ヘルニアは,ともにしばしばみられる疾患であるが,ヘルニア内容に大腸癌を含んだ症例の報告は稀である.
【症例】
73歳,男性.1週間前から続く腹痛・排便困難を主訴に前医を受診した.精査の結果,左鼠経ヘルニア嵌頓,腸閉塞の診断となり当院に搬送となった.画像上,ヘルニア内容はS状結腸であり,内部に腫瘍を疑う所見を認め,多発肝転移を示唆する所見も認めた.ヘルニア嵌頓の用手的還納は困難であった.
大腸穿孔の危険性を考慮し,準緊急で手術を施行した.下腹部正中切開で開腹し,嵌頓腸管の腹腔内への還納を試みたが困難であった.そこで左鼠径部切開にてS状結腸切除術・鼠経ヘルニア修復術(メッシュプラグ法)を施行した.吻合はせずハルトマン手術とした.
病理組織学的には,S状結腸癌pT3N0M1a pStageIVaであった.
【考察】
医学中央雑誌にて「S状結腸癌」,「ヘルニア」,「嵌頓」をキーワードとして検索を行うと,S状結腸癌が鼠径部に嵌頓した症例は9例報告されていた.性別は全例で男性であった.年齢の中央値は71歳[60-89歳],穿孔を来した症例は5例であった.遠隔転移を有する症例の報告は認めなかった.
本症例では,鼠経ヘルニアの病悩期間が10年以上と長く,脱出と還納を繰り返しているうちに癌が発生し,ヘルニア嚢内で病状が進行して還納不能となり嵌頓に至ったと推察される.
【結語】
今回我々は,S状結腸癌による鼠経ヘルニア嵌頓に対して手術を施行した1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した.
大腸癌と鼠経ヘルニアは,ともにしばしばみられる疾患であるが,ヘルニア内容に大腸癌を含んだ症例の報告は稀である.
【症例】
73歳,男性.1週間前から続く腹痛・排便困難を主訴に前医を受診した.精査の結果,左鼠経ヘルニア嵌頓,腸閉塞の診断となり当院に搬送となった.画像上,ヘルニア内容はS状結腸であり,内部に腫瘍を疑う所見を認め,多発肝転移を示唆する所見も認めた.ヘルニア嵌頓の用手的還納は困難であった.
大腸穿孔の危険性を考慮し,準緊急で手術を施行した.下腹部正中切開で開腹し,嵌頓腸管の腹腔内への還納を試みたが困難であった.そこで左鼠径部切開にてS状結腸切除術・鼠経ヘルニア修復術(メッシュプラグ法)を施行した.吻合はせずハルトマン手術とした.
病理組織学的には,S状結腸癌pT3N0M1a pStageIVaであった.
【考察】
医学中央雑誌にて「S状結腸癌」,「ヘルニア」,「嵌頓」をキーワードとして検索を行うと,S状結腸癌が鼠径部に嵌頓した症例は9例報告されていた.性別は全例で男性であった.年齢の中央値は71歳[60-89歳],穿孔を来した症例は5例であった.遠隔転移を有する症例の報告は認めなかった.
本症例では,鼠経ヘルニアの病悩期間が10年以上と長く,脱出と還納を繰り返しているうちに癌が発生し,ヘルニア嚢内で病状が進行して還納不能となり嵌頓に至ったと推察される.
【結語】
今回我々は,S状結腸癌による鼠経ヘルニア嵌頓に対して手術を施行した1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した.