講演情報
[P17-2-3]横行結腸癌による内因性閉塞病変と,腹膜播種による回盲部の外因性閉塞と思われる病変に対して二期分割で緩和ステントを留置した1例
山﨑 信人, 大西 賢, 木村 和孝, 塩川 洋之, 神宮 和彦 (独立行政法人地域医療推進機構JCHOさいたま北部医療センター外科)
【背景】大腸癌治療ガイドライン2022年度版で,原発巣による閉塞症状を伴う切除不能進行再発大腸癌に対するステント治療は弱く推奨されている.しかし,原発巣以外による外因性閉塞症状に対するステント治療の意義は定かではない.今回我々は,閉塞性横行結腸癌による内因性閉塞と,腹膜播種による回盲部の外因性閉塞に対して二期分割で緩和ステントを留置した1例を経験したため報告する.
【症例】患者は80代女性.2023年5月に横行結腸癌(cStageIIIc)の完全狭窄性イレウスにて,当院で大腸ステントを挿入し,手術を予定していた.しかし,術前検査で重症COPDを認めたため,術後気管切開等のリスクを説明したところ,手術を拒否していた.1か月前から食思不振,腹部膨満が出現し,横行結腸癌イレウス疑いで精査・加療目的に当科入院となった.腹壁に固い腫瘤を触れ,腹部造影CTでは,遠隔転移は認めなかったが,腹腔内に造影効果を認める腹膜播種が多発しており,回盲部の腫瘤が原因と思われる小腸イレウスを認めた.小腸-大腸バイパスも考慮されたが重症COPDであること,腸管の自由度が無い可能性が高いため手術は断念された.オクトレオチドによる治療を開始するも,患者に経口摂取を懇望されたため,二期分割でステント留置する方針とした.一期目治療として横行結腸ステント再留置した.前回留置したステント内に腫瘍突出と便貯留があったため難渋したが,22mmステントを留置できた.一期目治療から3日後,二期目治療を施行.バウヒン弁の小腸側に腫瘍による圧排を認め,18mm大腸ステント留置した.ステント留置の翌日の腹部CTにて,小腸イレウスは改善していたため,経口摂取を開始し,現在も経口摂取可能である.
【考察】本症例のように原発巣以外の外因性閉塞症状に対しても緩和ステント治療は有効であると考えられた.
【結語】閉塞性横行結腸癌による内因性閉塞病変と,腹膜播種による回盲部の外因性閉塞と思われる病変に対して二期分割で緩和ステントを留置した1例を経験した.
【症例】患者は80代女性.2023年5月に横行結腸癌(cStageIIIc)の完全狭窄性イレウスにて,当院で大腸ステントを挿入し,手術を予定していた.しかし,術前検査で重症COPDを認めたため,術後気管切開等のリスクを説明したところ,手術を拒否していた.1か月前から食思不振,腹部膨満が出現し,横行結腸癌イレウス疑いで精査・加療目的に当科入院となった.腹壁に固い腫瘤を触れ,腹部造影CTでは,遠隔転移は認めなかったが,腹腔内に造影効果を認める腹膜播種が多発しており,回盲部の腫瘤が原因と思われる小腸イレウスを認めた.小腸-大腸バイパスも考慮されたが重症COPDであること,腸管の自由度が無い可能性が高いため手術は断念された.オクトレオチドによる治療を開始するも,患者に経口摂取を懇望されたため,二期分割でステント留置する方針とした.一期目治療として横行結腸ステント再留置した.前回留置したステント内に腫瘍突出と便貯留があったため難渋したが,22mmステントを留置できた.一期目治療から3日後,二期目治療を施行.バウヒン弁の小腸側に腫瘍による圧排を認め,18mm大腸ステント留置した.ステント留置の翌日の腹部CTにて,小腸イレウスは改善していたため,経口摂取を開始し,現在も経口摂取可能である.
【考察】本症例のように原発巣以外の外因性閉塞症状に対しても緩和ステント治療は有効であると考えられた.
【結語】閉塞性横行結腸癌による内因性閉塞病変と,腹膜播種による回盲部の外因性閉塞と思われる病変に対して二期分割で緩和ステントを留置した1例を経験した.