講演情報
[P8-2-1]下部消化管鏡視下手術における術中・術後合併症とその対策
腰野 蔵人, 谷 公孝, 文 前田, 金子 由香, 二木 了, 番場 嘉子, 小川 真平, 山口 茂樹 (東京女子医科大学消化器・一般外科)
<はじめに>本邦における腹腔鏡下大腸切除は開腹手術と比べ,特に短期成績においては優れおり,術後疼痛の軽減や在院日数短縮にも効果を上げている.また,拡大視効果による正確な解剖の把握ができるため,出血や副損傷などのリスクも軽減すると言われている.
一方で,視野外で発生した事態への対応が遅れてしまう事例も散見される.
また,開腹操作と比べ,トロッカー挿入や鉗子操作などの手順も増えるため,術者のみならず助手との協調やチームとしての成熟度が手術においては重要となってくる.そこで今回われわれは,当院で行われた下部消化管鏡視下手術における術中・術後合併症の発生とその対策について検討した.
<方法>
2018年4月から2023年3月までに予定手術を施行した下部消化管手術の合併症発生率やその傾向について検討を行った.
<結果>
術中合併症発生は尿管損傷が2例であり,その他神経損傷や動脈損傷が認められた.また開腹移行になった症例は高度癒着症例が7例ともっとも多い結果となった.
Clavien-Dindo Grade3以上の合併症発生率は全体で9.7%であり,合併症発生は開腹移行になった症例で27%と最も高く,腹腔鏡手術では6.5%と最も低い結果となった.
また術後合併症発生が多い術式は,低位前方切除であった.
<結論>
鏡視下手術においては術後合併症の発生は少ないものの,術中・術後合併症はいつ起きるか予想できないため,より安全な鏡視下手術ができる体制を整えておく必要がある.
一方で,視野外で発生した事態への対応が遅れてしまう事例も散見される.
また,開腹操作と比べ,トロッカー挿入や鉗子操作などの手順も増えるため,術者のみならず助手との協調やチームとしての成熟度が手術においては重要となってくる.そこで今回われわれは,当院で行われた下部消化管鏡視下手術における術中・術後合併症の発生とその対策について検討した.
<方法>
2018年4月から2023年3月までに予定手術を施行した下部消化管手術の合併症発生率やその傾向について検討を行った.
<結果>
術中合併症発生は尿管損傷が2例であり,その他神経損傷や動脈損傷が認められた.また開腹移行になった症例は高度癒着症例が7例ともっとも多い結果となった.
Clavien-Dindo Grade3以上の合併症発生率は全体で9.7%であり,合併症発生は開腹移行になった症例で27%と最も高く,腹腔鏡手術では6.5%と最も低い結果となった.
また術後合併症発生が多い術式は,低位前方切除であった.
<結論>
鏡視下手術においては術後合併症の発生は少ないものの,術中・術後合併症はいつ起きるか予想できないため,より安全な鏡視下手術ができる体制を整えておく必要がある.