講演情報
[WS2-3]潰瘍性大腸炎に対する経肛門的直腸間膜切除を併用した大腸全摘術後の肛門機能についての検討
関戸 悠紀, 荻野 崇之, 竹田 充伸, 波多 豪, 浜部 敦史, 三吉 範克, 植村 守, 土岐 祐一郎, 江口 英利 (大阪大学消化器外科)
【背景】潰瘍性大腸炎(UC)に対する大腸全摘について当施設では難治症例であっても原則として腹腔鏡下に手術を実施している.またUCに合併した炎症性発癌例では残存粘膜の発癌リスクを考慮して大腸全摘+回腸嚢肛門吻合を選択している.肛門粘膜の切除では括約筋の機能温存に勤め適切な剥離層を保つべく,症例に応じて経肛門的直腸間膜切除(TaTME)を実施しているが肛門括約筋機能保持における意義は明らかでない.本研究ではUC大腸全摘後の肛門機能的予後について検討した.
【対象と方法】2015年7月から2024年4月に当科でUCに対して吻合を伴う大腸全摘術を実施した症例を対象とし臨床病理学的情報及び術前後肛門機能を収集し,TaTME併用IAA群(Ta群)と非併用IAA群(non-Ta群)について比較した.
【結果】該当は83(男性57/女性26)例,手術時年齢はmedian 51(12-89)歳.手術までの罹病期間はmedian 10(0-62)年.病型は全大腸炎型73/左側大腸炎型1/直腸炎型1例/右側1例.適応は癌/high grade dysplasia(HGD)31/難治30例/重症7例/3期分割手術の2期目15例.待機手術62例/緊急手術21例.術式はHALS5例/腹腔鏡72例/ロボット支援6例で,21例でTaTME併用手術を行なった.開腹移行は2例であった.吻合はIAA38例/IACA45例で1期手術5例を除き回腸瘻を造設した.手術時間はmedian 401(234-1050)分,出血量はmedian 140(10-1160)mlであった.術後初回の肛門機能検査結果は機能的肛門管長がTa群median 45.5/non-Ta群38.0 mm,最大静止圧がTa群49.8/non-Ta群 25.4 cmH2O,最大随意収縮圧はTa群 253.6/non-Ta群 182.1cm H2Oであった.また,Ta群において術前及びstoma閉鎖後の比較ができた症例の検討では機能的肛門管長は術前median 47/術後41 mm,最大静止圧は術前median 60/閉鎖後57 cm H2O,最大随時収縮圧は術前median 276/閉鎖後294 cm H2Oであった.
【結語】潰瘍性大腸炎に対する低侵襲手術においてTaTME併用手術は肛門括約筋機能を保持する上で有用である可能性がある.
【対象と方法】2015年7月から2024年4月に当科でUCに対して吻合を伴う大腸全摘術を実施した症例を対象とし臨床病理学的情報及び術前後肛門機能を収集し,TaTME併用IAA群(Ta群)と非併用IAA群(non-Ta群)について比較した.
【結果】該当は83(男性57/女性26)例,手術時年齢はmedian 51(12-89)歳.手術までの罹病期間はmedian 10(0-62)年.病型は全大腸炎型73/左側大腸炎型1/直腸炎型1例/右側1例.適応は癌/high grade dysplasia(HGD)31/難治30例/重症7例/3期分割手術の2期目15例.待機手術62例/緊急手術21例.術式はHALS5例/腹腔鏡72例/ロボット支援6例で,21例でTaTME併用手術を行なった.開腹移行は2例であった.吻合はIAA38例/IACA45例で1期手術5例を除き回腸瘻を造設した.手術時間はmedian 401(234-1050)分,出血量はmedian 140(10-1160)mlであった.術後初回の肛門機能検査結果は機能的肛門管長がTa群median 45.5/non-Ta群38.0 mm,最大静止圧がTa群49.8/non-Ta群 25.4 cmH2O,最大随意収縮圧はTa群 253.6/non-Ta群 182.1cm H2Oであった.また,Ta群において術前及びstoma閉鎖後の比較ができた症例の検討では機能的肛門管長は術前median 47/術後41 mm,最大静止圧は術前median 60/閉鎖後57 cm H2O,最大随時収縮圧は術前median 276/閉鎖後294 cm H2Oであった.
【結語】潰瘍性大腸炎に対する低侵襲手術においてTaTME併用手術は肛門括約筋機能を保持する上で有用である可能性がある.