講演情報
[P22-2-2]皮膚科と合同手術を行なった肛門周囲の乳房外Paget病に対するロボット支援下直腸切断術5例の経験
浅井 宏之, 鈴木 卓弥, 中澤 充樹, 上原 崇平, 加藤 瑛, 藤井 善章, 渡部 かをり, 牛込 創, 高橋 広城, 瀧口 修司 (名古屋市立大学病院)
【緒言】
乳房外Paget病は皮膚原発である一次性と肛門管癌ならびに直腸癌,膀胱癌などが外陰部,肛門皮膚に進展した二次性に分類される.乳房外Paget病のうち肛門Paget病の頻度は5%の以下とされている.
今回我々は肛門周囲に発生した乳房外Paget病に対して,皮膚科と合同でロボット支援下直腸切断術を行った5例を経験したため報告する.
【方法】
2020年1月から2024年4月までの間に肛門周囲に発生した乳房外Paget病に対して皮膚科と合同で行ったロボット支援下直腸切断術5例を後方視的に検討する.
【結果】
年齢中央値は74歳(63-87)で,BMIは23.1(22.6-24.8)で,全例が女性であった.術前診断は一次性乳房外Paget病が2例,二次性乳房外Paget病またはその疑いが3例で,初診から乳房外Paget病の診断がされるまでは2ヶ月(0-48)であった.
全例にロボット支援下直腸切断術が施行されている.二次性乳房外Paget病の症例では直腸血管周囲のリンパ節郭清が行われている.側方や鼠径部郭清は行われていない.肛門周囲の皮膚病変の切除は皮膚科に託し,境界明瞭腫瘍は1cm,不明瞭腫瘍は3cmほどマージンを確保した.3症例では病変が膣に近接しており一部合併切除している.
手術時間は482分(450-525),出血量は87g(56-231)であった.5例中3例に皮弁作成を行った.皮弁はVY flapが2例,rotation flapが1例であった.全例R0手術であった.
術後腸閉塞(Clavien-Dindo分類:II)を2例認めた.CD分類:III以上の合併症は認めなかった.術後在院日数は22日(17-24)であった.
術後病理診断では術前と同様で一次性乳房外Paget病が2例,二次性乳房外Paget病が3例であった.一次性乳房外Paget病の1症例で術後25ヶ月に右鼠径部リンパ節転移があり郭清術を追加した.二次性乳房外Paget病の1症例で腹膜播種をきたしている.他3症例は無再発生存中である.
【結語】
肛門皮膚の切除には想定以上に病変が拡がっていることがあり,切除範囲の確認や皮弁作成の必要性の有無など皮膚科医師と事前に十分に協議する必要性がある.診断から治療にあたり消化器外科のみならず皮膚科や消化器内科も含めた他診療科との連携が非常に重要な疾患であると考える.
乳房外Paget病は皮膚原発である一次性と肛門管癌ならびに直腸癌,膀胱癌などが外陰部,肛門皮膚に進展した二次性に分類される.乳房外Paget病のうち肛門Paget病の頻度は5%の以下とされている.
今回我々は肛門周囲に発生した乳房外Paget病に対して,皮膚科と合同でロボット支援下直腸切断術を行った5例を経験したため報告する.
【方法】
2020年1月から2024年4月までの間に肛門周囲に発生した乳房外Paget病に対して皮膚科と合同で行ったロボット支援下直腸切断術5例を後方視的に検討する.
【結果】
年齢中央値は74歳(63-87)で,BMIは23.1(22.6-24.8)で,全例が女性であった.術前診断は一次性乳房外Paget病が2例,二次性乳房外Paget病またはその疑いが3例で,初診から乳房外Paget病の診断がされるまでは2ヶ月(0-48)であった.
全例にロボット支援下直腸切断術が施行されている.二次性乳房外Paget病の症例では直腸血管周囲のリンパ節郭清が行われている.側方や鼠径部郭清は行われていない.肛門周囲の皮膚病変の切除は皮膚科に託し,境界明瞭腫瘍は1cm,不明瞭腫瘍は3cmほどマージンを確保した.3症例では病変が膣に近接しており一部合併切除している.
手術時間は482分(450-525),出血量は87g(56-231)であった.5例中3例に皮弁作成を行った.皮弁はVY flapが2例,rotation flapが1例であった.全例R0手術であった.
術後腸閉塞(Clavien-Dindo分類:II)を2例認めた.CD分類:III以上の合併症は認めなかった.術後在院日数は22日(17-24)であった.
術後病理診断では術前と同様で一次性乳房外Paget病が2例,二次性乳房外Paget病が3例であった.一次性乳房外Paget病の1症例で術後25ヶ月に右鼠径部リンパ節転移があり郭清術を追加した.二次性乳房外Paget病の1症例で腹膜播種をきたしている.他3症例は無再発生存中である.
【結語】
肛門皮膚の切除には想定以上に病変が拡がっていることがあり,切除範囲の確認や皮弁作成の必要性の有無など皮膚科医師と事前に十分に協議する必要性がある.診断から治療にあたり消化器外科のみならず皮膚科や消化器内科も含めた他診療科との連携が非常に重要な疾患であると考える.