講演情報
[WS3-1]クローン病疑診例や非確定例の痔瘻の治療方針の検討
紅谷 鮎美, 岡本 康介, 佐井 佳世, 米本 昇平, 酒井 悠, 松島 小百合, 鈴木 佳透, 小菅 経子, 彦坂 吉興, 香取 玲美, 松村 奈緒美, 河野 洋一, 宋 江楓, 下島 裕寛, 國場 幸均, 宮島 伸宜, 黒水 丈次, 松島 誠 (松島病院)
【はじめに】当院で見つかるクローン病(以下CD)のほとんどは腹部症状からではなく,痔瘻をはじめとした肛門病変がきっかけとなる.CDを確診とするには主要所見である特徴的な消化管病変や非乾酪性類上皮細胞肉芽腫(以下EG)の検出が必要となるわけだが,悩ましいのは疑診の場合や,疑診にもならないがCDを否定しきれない場合である.今回はCDが関連する痔瘻症例の経過から,CD疑診例や非確定例の治療方針を検討する.
【当院の痔瘻治療方針】痔瘻の診断は触診と経肛門超音波検査で行う.痔瘻は全例大腸内視鏡検査を行い,消化管病変の有無を確認し,CDが否定されれば痔瘻根治術を検討する.CD確診となった場合はガイドラインに沿って内科治療を開始し,痔瘻は基本的にはドレナージのみ行う.条件が合うCD痔瘻症例に対してはダルバドストロセルの使用も行っている.
【対象と方法】2023年3月から2024年4月までに当院外来を受診したCD確診,疑診,非確定の痔瘻症例95例.痔瘻の型,痔瘻以外の肛門病変,消化管病変,EG検出の有無などと治療経過を比較検討した.
【結果】男女の割合は男性82例,女性13例.年齢の中央値は27歳(13-72).CD確診は56例で,そのうち9例は最初疑診であったが,4例は数年以内の内視鏡再検査で確診に変更,5例は痔瘻根治後に治癒遷延し再検査で確診となった.CD疑診は30例で,CD治療中が8例,そのうち6例は治療開始後に消化管病変の改善を認め,今後痔瘻の手術を検討している.疑診のうち5例は根治手術を行い,3例が治癒遷延したため,精査の上治療法を再検討中である.CD疑診から確診となった症例に関して,痔瘻の型やEG検出率などデータに差はみられなかった.CD非確定は6例で,全例根治術を行い,治癒遷延したものもあったが最終的には治癒している.
【まとめ】肛門科でみつかるCDは初期段階であることも多く,診断基準でCD確診とならない場合も数年後の検査で所見が出てくる場合があるので,肛門からCDを否定できない場合はすぐには痔瘻根治は行わず,積極的に上部消化管精査や生検でEGの確認を行い,見極めることが重要である.
【当院の痔瘻治療方針】痔瘻の診断は触診と経肛門超音波検査で行う.痔瘻は全例大腸内視鏡検査を行い,消化管病変の有無を確認し,CDが否定されれば痔瘻根治術を検討する.CD確診となった場合はガイドラインに沿って内科治療を開始し,痔瘻は基本的にはドレナージのみ行う.条件が合うCD痔瘻症例に対してはダルバドストロセルの使用も行っている.
【対象と方法】2023年3月から2024年4月までに当院外来を受診したCD確診,疑診,非確定の痔瘻症例95例.痔瘻の型,痔瘻以外の肛門病変,消化管病変,EG検出の有無などと治療経過を比較検討した.
【結果】男女の割合は男性82例,女性13例.年齢の中央値は27歳(13-72).CD確診は56例で,そのうち9例は最初疑診であったが,4例は数年以内の内視鏡再検査で確診に変更,5例は痔瘻根治後に治癒遷延し再検査で確診となった.CD疑診は30例で,CD治療中が8例,そのうち6例は治療開始後に消化管病変の改善を認め,今後痔瘻の手術を検討している.疑診のうち5例は根治手術を行い,3例が治癒遷延したため,精査の上治療法を再検討中である.CD疑診から確診となった症例に関して,痔瘻の型やEG検出率などデータに差はみられなかった.CD非確定は6例で,全例根治術を行い,治癒遷延したものもあったが最終的には治癒している.
【まとめ】肛門科でみつかるCDは初期段階であることも多く,診断基準でCD確診とならない場合も数年後の検査で所見が出てくる場合があるので,肛門からCDを否定できない場合はすぐには痔瘻根治は行わず,積極的に上部消化管精査や生検でEGの確認を行い,見極めることが重要である.