講演情報
[WS3-9]クローン病の肛門部瘻孔に対するダルバドストロセルの治療成績についての検討
近藤 哲, 太田 章比古, 家田 純郎, 長谷川 信吾, 宮田 美智也 (家田病院)
【目的】クローン病の肛門部瘻孔に対するダルバドストロセルの治療成績について検討する.【対象】2023年4月1日から2024年4月1日までの間に,当院でダルバドストロセルを投与した20例を対象とした.【方法】二次口を圧迫しても排膿がみられない場合を臨床的な瘻孔閉鎖とし,投与後の臨床的な瘻孔閉鎖率,再発率を評価した.【結果】患者背景は,男性16例,女性4例で,年齢の平均値は32.5(18-64)歳であった.クローン病の病型は,小腸大腸型14例,小腸型3例,大腸型3例で,罹患期間の平均値は8.7(1-31)年であった.生物学的製剤が全例で投与され,インフリキシマブ9例,アダリムマブ5例,ウステキヌマブ5例,ウパダシチニブ1例で,10例で2種類以上の投与歴があり,CDAIの平均値は89.4(27-177)であった.肛門部瘻孔に対する手術歴は,切開排膿術のみが1例,シートンドレナージ術を施行されていたのが19例で,1回が11例,2回が2例,3回以上が6例であった.一次口は,1個が12例,2個が8例で,二次口は1個が6例,2個が9例,3個が5例であった.治療成績は,臨床的な瘻孔閉鎖に至ったのは15例(75%)で,瘻孔閉鎖まで平均値で7.3(1-41)週を要した.瘻孔閉鎖後の再発は5例(33%)にみられた.再発もしくは瘻孔が閉鎖しなかった10例(50%)のうち,4例は治療なし,4例は単回の内服抗菌薬投与のみ,1例は複数回の内服抗菌薬投与,1例はシートンドレナージ術を行った.【結論】ダルバドストロセルの投与により臨床的な瘻孔閉鎖に至り,再発なく経過したのは,20例のうち10例(50%)で,投与後に再度シートンドレナージ術を要したのは1例(5%)であった.