講演情報

[P12-2-1]術後1年で両側肺転移,膣転移をきたしたStageI直腸癌の1例

青木 尚徳, 河原 秀次郎, 坪内 咲希, 山澤 海人, 塚崎 雄平, 平林 剛, 小村 伸郎 (国立病院機構西埼玉中央病院外科)
PDFダウンロードPDFダウンロード
症例:82歳女性.血便の精査目的で大腸内視鏡検査を行い,直腸RSに深達度MPの2型腫瘍を認めた.スコープは通過可能であり,腫瘍の生検組織診断はadenocarcinoma, tub1-2であった.その他血液検査でCEA 14.6ng/mlと高値を認め,PET-CTで直腸RSに集積を認めた.その他リンパ節転移や遠隔転移は認められなかった.直腸癌,cT2N0M0,cStageIと診断し,腹腔鏡下高位前方切除術を試みた.術後病理診断は大きさ26×24mmの2型腫瘍で,pT2N0M0,pStageI,tub1>tub2,INFa,ly0,v1,BD1,Ph0,DM0,PM0,RM0であった.術後は特に合併症なく経過し,軽快退院した.pStageIのため,術後補助化学療法は施行しなかった.術後1年の血液検査でCEA 17.0ng/mlと上昇を認めPET-CTを施行したが,両肺と膣に集積を認めた.膣病変は婦人科で精査を行い,膣壁に乳頭状病変を認め,細胞診と生検を施行した.細胞診ではclass V,生検組織診断では高分化腺癌であり,直腸癌の転移と矛盾しない結果であった.以上から大腸癌の両側肺転移,膣転移と診断し,化学療法を行う方針とし,現在加療中である.
 考察:直腸癌の膣転移は極めて稀で,医中誌の検索では2017年までに11例の報告を見るだけであった.今回,若干の文献的報告を加えて報告する.