講演情報
[O3-1]クローン病手術症例において再手術を回避するために必要なストラテジー
小島 正継1, 三宅 亨1, 谷 総一郎1, 村本 圭史1, 仁科 勇佑1, 貝田 佐知子1, 竹林 克士1, 前平 博充1, 大竹 玲子1, 森 治樹1, 石川 原1, 清水 智治2, 谷 眞至1 (1.滋賀医科大学外科学講座, 2.滋賀医科大学医学部附属病院医療安全管理部)
【背景】クローン病は,生涯に複数回の手術を要することもある難治性疾患である.腸管切除による短腸症候群を回避するには,初回手術を避けることの他に,手術症例において再手術を防ぐことや,再手術までの期間を延長することが重要である.
【目的】クローン病手術症例における再手術リスク因子と内視鏡的拡張術の有効性に関して明らかにすることを目的とした.
【方法】当院で2007年から2022年6月までに経験したクローン病手術症例のうち,肛門および悪性疾患を除いた75例を後方視的に検討した.
【結果】術後に内視鏡的拡張術を要する高度狭窄を認めたのは22例(29.3%)であり,ストマ閉鎖や合併症関連手術を除いて再手術を要したのは7例(9.3%)であった.内視鏡的拡張術施行症例で,その後再手術に至ったのは22例中2例(9.1%)であった.Kaplan-Meier解析では,内視鏡的拡張術は術後10年間ほぼ一定の割合で施行されていたが,再手術は5年ほどでplateauに達する傾向があった.Cox回帰分析で術後5年での再手術危険因子として,Surgical site infection(SSI)が抽出された(HR 7.303,95%CI 1.468-36.326,p=0.015).術後に消化管内視鏡検査を64例に施行していたが,予定していた観察が操作困難のためできなかった症例(内視鏡困難症例)を9例(14.1%)認めた.内視鏡困難症例は複数回手術や開腹手術と関連はなかったが,非困難症例と比べSSIが多い傾向にあった(33.3% vs 10.9%,p=0.073).
【結語】クローン病手術症例において内視鏡的拡張術が再手術を予防ないし再手術までの期間を延長している可能性が示唆された.再手術に関する危険因子はSSIであり,SSIを起こした症例では内視鏡的に十分な観察ができない傾向があった.SSIは長期的な予後に影響する可能性があり,以後の内科的治療に繋げるためにも周術期に慎重な感染対策が望まれる.
【目的】クローン病手術症例における再手術リスク因子と内視鏡的拡張術の有効性に関して明らかにすることを目的とした.
【方法】当院で2007年から2022年6月までに経験したクローン病手術症例のうち,肛門および悪性疾患を除いた75例を後方視的に検討した.
【結果】術後に内視鏡的拡張術を要する高度狭窄を認めたのは22例(29.3%)であり,ストマ閉鎖や合併症関連手術を除いて再手術を要したのは7例(9.3%)であった.内視鏡的拡張術施行症例で,その後再手術に至ったのは22例中2例(9.1%)であった.Kaplan-Meier解析では,内視鏡的拡張術は術後10年間ほぼ一定の割合で施行されていたが,再手術は5年ほどでplateauに達する傾向があった.Cox回帰分析で術後5年での再手術危険因子として,Surgical site infection(SSI)が抽出された(HR 7.303,95%CI 1.468-36.326,p=0.015).術後に消化管内視鏡検査を64例に施行していたが,予定していた観察が操作困難のためできなかった症例(内視鏡困難症例)を9例(14.1%)認めた.内視鏡困難症例は複数回手術や開腹手術と関連はなかったが,非困難症例と比べSSIが多い傾向にあった(33.3% vs 10.9%,p=0.073).
【結語】クローン病手術症例において内視鏡的拡張術が再手術を予防ないし再手術までの期間を延長している可能性が示唆された.再手術に関する危険因子はSSIであり,SSIを起こした症例では内視鏡的に十分な観察ができない傾向があった.SSIは長期的な予後に影響する可能性があり,以後の内科的治療に繋げるためにも周術期に慎重な感染対策が望まれる.