講演情報

[P9-1-3]大腸憩室症で狭窄症状をきたし手術を要した15症例の検討

寺内 誠司, 吉川 周作, 増田 勉, 内田 秀樹, 中尾 武, 稲垣 水美, 横尾 貴史, 谷 孝文, 岡本 光平, 芝田 祐輔, 稲次 直樹 (健生会土庫病院奈良大腸肛門病センター)
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【背景】大腸憩室症は,保存的加療にて改善することが多い良性疾患である.しかし,憩室出血による内視鏡での止血操作を必要としたり,憩室炎による腹膜炎(穿通や膿瘍形成)で緊急手術を要することもある.更には憩室炎の反復によると考えられる腸管の狭窄や閉塞による腸閉塞により手術を要する症例も少ないが経験する.画像上悪性疾患の併存が疑われる症例や,狭窄部位の切除術後の病理検索で悪性疾患を指摘され追加手術を要した症例の報告もあるが,その報告数は少ない.【目的】大腸憩室症で狭窄症状を有し,手術を要した症例の臨床的特徴を明らかにする.【方法】当科で2014年1月から2023年12月までの10年間に経験した,大腸憩室症による狭窄症状で手術を要した15症例を後方視的に検討した.【結果】15例は腹膜炎症状がなく全例待機手術.男性:10例,女性:5例.年齢は43~95歳(中央値:69歳).狭窄部位は,全例がS状~下行結腸.病脳期間は1ケ月~12年(中央値:1年).内視鏡検査で狭窄による挿入困難から12例に細経内視鏡,胃カメラ,経鼻内視鏡を使用.術前に腸閉塞症状がありイレウス管で減圧(経肛門的)を要したのは4例.開腹手術:8例,腹腔鏡下手術:5例,腹腔鏡から開腹術へ移行:2例.術前の内視鏡検査で2例に大腸癌を認めた.術後は癒着性腸閉塞を合併した1人以外は良好で,術後10~39日(中央値:15日)で全員退院.【考察】S状結腸に狭窄をきたすと内視鏡での検査が困難になる.検査時の疼痛や,腸管壁硬化のため内視鏡の操作が難しく途中で断念する事となる.また粘膜浮腫が高度で通常と異なる観察が要求される.2例の大腸癌患者が含まれていたことを考慮すると,細経内視等鏡の使用も含めより丁寧な内視鏡検査が望まれると考える.