講演情報
[O3-5]当院におけるクローン病に対する腹腔鏡下手術症例の検討
大谷 弘樹, 矢野 匡亮, 大川 慎太郎, 木下 新作, 岩田 一馬, 津高 慎平, 高橋 優太, 須井 健太, 市原 周治, 信岡 大輔, 田中 則光, 大橋 龍一郎 (香川県立中央病院消化器一般外科)
【背景】低侵襲で術後早期に社会復帰も期待でき,拡大視効果などの利点を有する腹腔鏡下手術はクローン病手術においても有用と考えられている.一般的には,クローン病においては非穿孔型の初回手術症例が腹腔鏡下手術の良い適応とされているが,近年,腹腔鏡下手術での機器の進歩や手技の向上により,クローン病に対する腹腔鏡下手術の適応も拡大傾向にある.一方で,クローン病の病態は腸管狭窄から複雑な瘻孔,膿瘍形成に至るまで多種多様であり,複数回手術の既往がある場合には癒着も予想される.そのため,症例によっては腹腔鏡下手術の難易度も高くなることから,症例に応じた術式を検討する必要がある.
【対象と方法】2010年から2024年までに当院で施行したクローン病に対する手術症例は52例あり,腹腔鏡下手術を施行した症例32例を後方視的に患者背景,術前病態,手術術式,術後短期成績について検討を行った.
【結果】患者の平均年齢は36歳(17- 59歳),性別は男性16例,女性16例であった.手術適応となった病態は,狭窄症例が22例であり,膿瘍,瘻孔形成を伴った症例が10例であった.手術術式は小腸切除術が11例,回盲部を含む切除術が17例,横行結腸切除術が1例,S状結腸を含む切除術が3例であった.また,開腹に移行した症例は4例あり,2例は以前の手術既往により著明な癒着があり術野の確保が困難であった症例,他2例は複雑な瘻孔形成や膿瘍形成により臓器損傷のリスクが高いと判断した症例であった.また,CD分類Gr2以上の術後合併症は手術既往を有する症例に多い傾向であったが,術前CRP値やAlb値,術前内服薬の有無などにより,術後合併症や開腹移行に差は認められなかった.
【結語】瘻孔や膿瘍形成などを有する症例や複数回手術による癒着症例などでは腹腔鏡下手術の難易度も高くなるが,術前評価により病態を十分に把握して術式を選択することが重要と考えられた.
【対象と方法】2010年から2024年までに当院で施行したクローン病に対する手術症例は52例あり,腹腔鏡下手術を施行した症例32例を後方視的に患者背景,術前病態,手術術式,術後短期成績について検討を行った.
【結果】患者の平均年齢は36歳(17- 59歳),性別は男性16例,女性16例であった.手術適応となった病態は,狭窄症例が22例であり,膿瘍,瘻孔形成を伴った症例が10例であった.手術術式は小腸切除術が11例,回盲部を含む切除術が17例,横行結腸切除術が1例,S状結腸を含む切除術が3例であった.また,開腹に移行した症例は4例あり,2例は以前の手術既往により著明な癒着があり術野の確保が困難であった症例,他2例は複雑な瘻孔形成や膿瘍形成により臓器損傷のリスクが高いと判断した症例であった.また,CD分類Gr2以上の術後合併症は手術既往を有する症例に多い傾向であったが,術前CRP値やAlb値,術前内服薬の有無などにより,術後合併症や開腹移行に差は認められなかった.
【結語】瘻孔や膿瘍形成などを有する症例や複数回手術による癒着症例などでは腹腔鏡下手術の難易度も高くなるが,術前評価により病態を十分に把握して術式を選択することが重要と考えられた.