講演情報
[O14-5]腹腔鏡下直腸後方固定術(Wells変法)の手技の工夫と治療成績
白下 英史1, 長谷川 巧2, 藤田 隼輔2, 青山 佳正2, 板井 勇介2, 小川 雄大2, 蔀 由貴2, 平塚 孝宏3, 河野 洋平2, 赤木 智徳2, 二宮 繁生2, 柴田 智隆2, 上田 貴威3, 衛藤 剛4, 猪股 雅史2 (1.大分大学医学部高度医療人育成講座, 2.大分大学医学部消化器・小児外科学講座, 3.大分大学医学部総合外科・地域連携学講座, 4.大分大学グローカル感染症研究センター)
【背景・目的】直腸脱に対する腹腔鏡下直腸固定術は経肛門的手術に比較し,再発率が少ない術式といわれている.メッシュを用いることにより骨盤壁への固定が容易であるが,通過障害や瘻孔などの合併症の可能性がある.我々は直腸脱に対してメッシュを用いて直腸を後方に固定する腹腔鏡下直腸後方固定術(Wells変法)を行っている.今回手技の工夫を提示し,治療成績を報告する.
【対象と方法】2013年1月から2024年3月までに腹腔鏡下直腸後方固定術を行った36例を対象とし,脱出腸管長,病脳期間,手術時間,出血量,術中・術後合併症,術後在院日数,術後の便秘および再発について評価した.
【手術手技の工夫】①直腸を直線化できる程度の十分な直腸周囲の剥離を行う.②長めのメッシュを用い広範囲に直腸間膜を固定する.③メッシュが腸管壁に直接接触しないよう,また,メッシュが腹腔内に露出しないよう腹膜にて覆う.④直腸を後腹膜化することにより固定効果を上げる.⑤腸間膜形成を行い,腸管の屈曲を軽減し引き上げ効果を期待する.
【結果】平均年齢76歳(31-93),男性1例,女性358例.Tuttle1型3例,2型33例で,平均脱出腸管長6.7cm(2-20)であった.病脳期間中央値は35ヶ月(2-120),経肛門的直腸脱手術(Delorme法,Gant-Miwa法)の既往を5例に認めた.2例に子宮脱を合併し,同時に経腟子宮全摘術を行った.また1例に卵巣嚢腫に対して両側卵巣摘出術を行った.平均手術時間は206分(141-468),平均出血量は30ml(0-280)で,術中偶発症は認めなかった.術後イレウスにて手術が必要であった症例を2例認め,肛門周囲膿瘍を1例,膀胱炎を1例,腹壁血腫を1例,一時的排尿困難を2例に認めた.術後平均在院日数は13日(5-33)であった.術後1ヶ月目に便秘(排便回数が3日に1回未満)を1例に認め,便失禁を5例に認めた.術後平均観察期間22ヶ月で,2例に再発を認めた.メッシュによる合併症は経験していない.
【結語】直腸脱に対するメッシュを用いた腹腔鏡下直腸固定術は,メッシュの腸管壁への接触や腹腔内への露出を避けることでメッシュによる合併症を避けることができ,低侵襲でかつ再発の少ない有効な術式と考えられる.
【対象と方法】2013年1月から2024年3月までに腹腔鏡下直腸後方固定術を行った36例を対象とし,脱出腸管長,病脳期間,手術時間,出血量,術中・術後合併症,術後在院日数,術後の便秘および再発について評価した.
【手術手技の工夫】①直腸を直線化できる程度の十分な直腸周囲の剥離を行う.②長めのメッシュを用い広範囲に直腸間膜を固定する.③メッシュが腸管壁に直接接触しないよう,また,メッシュが腹腔内に露出しないよう腹膜にて覆う.④直腸を後腹膜化することにより固定効果を上げる.⑤腸間膜形成を行い,腸管の屈曲を軽減し引き上げ効果を期待する.
【結果】平均年齢76歳(31-93),男性1例,女性358例.Tuttle1型3例,2型33例で,平均脱出腸管長6.7cm(2-20)であった.病脳期間中央値は35ヶ月(2-120),経肛門的直腸脱手術(Delorme法,Gant-Miwa法)の既往を5例に認めた.2例に子宮脱を合併し,同時に経腟子宮全摘術を行った.また1例に卵巣嚢腫に対して両側卵巣摘出術を行った.平均手術時間は206分(141-468),平均出血量は30ml(0-280)で,術中偶発症は認めなかった.術後イレウスにて手術が必要であった症例を2例認め,肛門周囲膿瘍を1例,膀胱炎を1例,腹壁血腫を1例,一時的排尿困難を2例に認めた.術後平均在院日数は13日(5-33)であった.術後1ヶ月目に便秘(排便回数が3日に1回未満)を1例に認め,便失禁を5例に認めた.術後平均観察期間22ヶ月で,2例に再発を認めた.メッシュによる合併症は経験していない.
【結語】直腸脱に対するメッシュを用いた腹腔鏡下直腸固定術は,メッシュの腸管壁への接触や腹腔内への露出を避けることでメッシュによる合併症を避けることができ,低侵襲でかつ再発の少ない有効な術式と考えられる.