講演情報

[P20-2-4]虫垂切除後に虫垂カルチノイドと診断された1例

中田 拓也, 助川 晋作, 大島 康介 (北毛病院)
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症例は15歳,男性.特記すべき既往無し.家族歴なし.当院を受診する10か月前に他院にて虫垂炎の診断.以降再燃を2回ほど繰り返しており,手術をすすめられ来院した.腹部は平坦,軟,自発痛なし,圧痛なし,腫瘤蝕知なし.血液検査では白血球4060/μl,CRP 0.06mg/dlと炎症反応の上昇はなく,その他の項目としてはヘモグロビン14.3g/dl,血小板28.8万/μl,中性脂肪195mg/dl,ALP 241U/lといった所見であった.腹部造影CTでは虫垂に有意な所見はなく,腫大や壁肥厚,周囲脂肪織濃度の上昇,糞石といった所見は認めなかった.1か月後に待機的に腹腔鏡下虫垂切除術を施行.虫垂は周囲との癒着を認めず,虫垂間膜を処理したのち根部にてEndo GIA camel 45mmを用いて切離した.術後経過は問題なく,術後2日目に退院となった.病理所見はCartinoid tumor,type2,5×5×3mm,T2(MP),ly1a,v0.リンパ節摘出無し.Resected margin:pm(-),dm(-),rm(-).免疫染色を追加し,ChromoglaninA:3+,Synaptophisin:3+,Ki-67標識率:-:1%以下の結果を得た.現在外来フォロー中である.
虫垂におけるカルチノイド腫瘍は比較的まれであり,急性虫垂炎などの手術の際に偶発的に発見されることも少なくない.今回われわれは病理組織診断で虫垂カルチノイドと診断された1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.