講演情報

[P14-1-1]80歳以上の進行大腸癌の患者からみた大腸内視鏡検査の意義

原 健三1, 石井 侃1,2, 鳥羽 崇仁1, 小野 真史1, 藤本 愛1, 松田 尚久1 (1.東邦大学医療センター大森病院, 2.虎の門病院)
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【目的】80歳以上の高齢者に対する大腸内視鏡検査(TCS)の意義について検討する.【方法】2010年1月から2021年12月までに当院でTCSを施行した80歳以上の高齢者4130例のうち,進行大腸癌を認めた患者297例を有症状群と無症状群に分け,患者背景因子および臨床病理学的特徴,長期予後について比較検討を行った.【結果】297例のうち,有症状群は221例(74%),無症状群は76例(26%)であった.無症状群では,有症状群と比較して統計学的有意差をもってBMI(23.6 vs. 21.5),Alb(3.7 vs. 3.4 g/dl)が高く,CEA(3.9 vs. 5.6ng/ml),CA19-9(13.4 vs. 19.7 U/ml)は低値であり,右側結腸癌が多く(60.5% vs. 41.2%),臨床病期1+2期が多く(68.4% vs.36.2%),過去のTCS受検率が高かった(21.1% vs. 5.4%).また,経過を追跡し得た258例の5年全生存率,疾患特異的生存率は,各々無症状群72.5%,87.1%,有症状群41.0%,61.1%(p<0.05)で無症状群が有意に高かった.検査に伴う重篤な偶発症は,両群で1例も認めなかった.【結語】高齢者に対するTCSの意義は十分あると考えられた.今後,対象年齢の上限設定や併存疾患の有無なども考慮した検討が必要である.