講演情報
[O23-1]当科における腹膜播種を伴う大腸癌の手術成績
田中 宏典1, 友近 忍1, 藤原 康弘1, 西山 光郎1, 松井 洋人1, 新藤 芳太郎1, 徳光 幸生1, 渡邊 裕策1, 飯田 通久1, 髙橋 秀典1, 井岡 達也1,2, 永野 浩昭1 (1.山口大学大学院消化器・腫瘍外科学, 2.山口大学医学部附属病院腫瘍センター)
【はじめに】大腸癌治療ガイドラインでは同時性限局転移(P1,P2)で過大侵襲とならない切除であれば,原発巣と同時に切除することが推奨されている.切除症例の5年生存率は28.7-32.4%であり,非切除例と比較して予後良好と報告されている.一方で異時性腹膜播種に対する切除の有用性は不明である.
【目的】当科における大腸癌腹膜播種手術例を検討し,治療成績向上の一助とする.
【方法】2007-2022年に当科で手術を施行した大腸癌腹膜播種64例を後方視的に検討した.(1)臨床病理学的因子,(2)生存期間と予後因子,(3)Cur Bが得られた症例の治療成績,を検討した.
【結果】(1)年齢の中央値(範囲)は69(25-89)歳,男性/女性:31/33,同時性/異時性:56/8,P1/2/3:25/15/24,por,sig,muc/tub:17/47,他遠隔転移あり/なし:40/24,術後化学療法あり/なし:55/8であった.
(2)CurC含む64例のOS中央値は22か月で,5-y OSは19.7%であった.Cox 比例ハザードモデルを用いて予後不良因子を検討したところ,単変量解析では他遠隔転移あり,術前CA125>35(U/ml),腹膜播種R0切除不能,CurC,術後化学療法なしで有意に予後不良であった.多変量解析を行ったところ,術後化学療法なしで有意に予後不良であった(P<0.004).
(3)64例中16例に腹膜播種R0切除が施行されCurBが得られた.48例は姑息的切除29例,ストーマ造設11例,他遠隔転移併存8例でありCurCであった.CurB/CurC症例のOS中央値は62か月/14か月,5-y OSは51.6%/6.1%と,CurBで予後良好であった(P<0.001).CurB症例を同時性/異時性で比較したが差を認めなかった(P=0.670).CurB症例のRFS中央値は9か月で,5-y RFSは6.7%であった.1例のみ術後8年無再発生存中である.
【結語】腹膜播種切除によりCurBが得られた症例の予後は,非切除例と比べ予後良好であったが,一方で高率に再発を認めるため,術後化学療法を検討すべきである.異時性腹膜播種に対しても切除により予後延長が期待できるため,腹膜播種再発を早期に診断することが重要である.
【目的】当科における大腸癌腹膜播種手術例を検討し,治療成績向上の一助とする.
【方法】2007-2022年に当科で手術を施行した大腸癌腹膜播種64例を後方視的に検討した.(1)臨床病理学的因子,(2)生存期間と予後因子,(3)Cur Bが得られた症例の治療成績,を検討した.
【結果】(1)年齢の中央値(範囲)は69(25-89)歳,男性/女性:31/33,同時性/異時性:56/8,P1/2/3:25/15/24,por,sig,muc/tub:17/47,他遠隔転移あり/なし:40/24,術後化学療法あり/なし:55/8であった.
(2)CurC含む64例のOS中央値は22か月で,5-y OSは19.7%であった.Cox 比例ハザードモデルを用いて予後不良因子を検討したところ,単変量解析では他遠隔転移あり,術前CA125>35(U/ml),腹膜播種R0切除不能,CurC,術後化学療法なしで有意に予後不良であった.多変量解析を行ったところ,術後化学療法なしで有意に予後不良であった(P<0.004).
(3)64例中16例に腹膜播種R0切除が施行されCurBが得られた.48例は姑息的切除29例,ストーマ造設11例,他遠隔転移併存8例でありCurCであった.CurB/CurC症例のOS中央値は62か月/14か月,5-y OSは51.6%/6.1%と,CurBで予後良好であった(P<0.001).CurB症例を同時性/異時性で比較したが差を認めなかった(P=0.670).CurB症例のRFS中央値は9か月で,5-y RFSは6.7%であった.1例のみ術後8年無再発生存中である.
【結語】腹膜播種切除によりCurBが得られた症例の予後は,非切除例と比べ予後良好であったが,一方で高率に再発を認めるため,術後化学療法を検討すべきである.異時性腹膜播種に対しても切除により予後延長が期待できるため,腹膜播種再発を早期に診断することが重要である.