講演情報
[P13-1-5]ダブルバルーン内視鏡でマーキング後,腹腔鏡補助下手術を施行した大腸癌術後回腸転移の1例
住谷 大輔, 松原 啓壮, 中川 正崇, 太田 浩志, 矢野 将嗣 (JR広島病院外科)
(はじめに)横行結腸癌術後に単発性回腸転移を来した症例に対して,ダブルバルーン内視鏡で位置同定後,腹腔鏡補助下回腸部分切除を施行した1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
(症例)70代,女性.202X年,Colon Ca(T),tub2>tub1,T4a(SE),N1b,H0,P0,M0,StageIIIbで腹腔鏡補助下左半結腸切除施行後,当科外来経過観察中であった.術後1年経過後,CEA:13.5ng/mlと上昇傾向を認めた.造影CTでは再発,転移所見認めず.PET-CTで子宮腹側近傍にSUVmax:9.1,後期相:9.3の1cm弱の結節性高集積を認め小腸の腫瘍性病変の可能性を指摘された.カプセル内視鏡,ダブルバルーン内視鏡による精査追加した.カプセル内視鏡:回腸に壁外圧排もしくは粘膜下腫瘍様隆起を指摘.ダブルバルーン内視鏡:回腸に1cm大の粘膜下腫瘍様隆起あり.生検は施行できなかったが,病変肛門側に点墨,クリッピングでマーキング施行.画像上,単発性病変で,他に転移再発所見を認めないことから切除の方針とし,術後1年3か月後に腹腔鏡補助下回腸部分切除術施行した.小腸腫瘤は回腸末端から60cm程度口側の腸間膜側に存在し,壁外病変か腸管内病変かは判断不能であった.術後経過良好で第6病日に退院された.
最終病理結果は横行結腸癌の小腸転移で,腫瘍細胞は漿膜下組織から固有筋層にかけ増殖していた.転移経路については病理学的には断定できなかった.現在,再発なく外来経過観察継続中である.
(考察)大腸癌の小腸転移は3.8%以下と頻度の低い再発部位である.また播種性再発など全身転移の一つとして発見されることが多く局所治療の適応となることは少ない.今回,我々はCEA上昇を契機にダブルバルーン内視鏡などで精査施行し,R0手術可能と判断して腹腔鏡下手術を選択した.手術施行された小腸転移症例は比較的予後良好と報告されており,R0手術を施行した本症例の予後改善の可能性も示唆される.
(結語)小腸腫瘍に対する内視鏡は有用で,単発性小腸転移は腹腔鏡下手術の良い適応と考える.
(症例)70代,女性.202X年,Colon Ca(T),tub2>tub1,T4a(SE),N1b,H0,P0,M0,StageIIIbで腹腔鏡補助下左半結腸切除施行後,当科外来経過観察中であった.術後1年経過後,CEA:13.5ng/mlと上昇傾向を認めた.造影CTでは再発,転移所見認めず.PET-CTで子宮腹側近傍にSUVmax:9.1,後期相:9.3の1cm弱の結節性高集積を認め小腸の腫瘍性病変の可能性を指摘された.カプセル内視鏡,ダブルバルーン内視鏡による精査追加した.カプセル内視鏡:回腸に壁外圧排もしくは粘膜下腫瘍様隆起を指摘.ダブルバルーン内視鏡:回腸に1cm大の粘膜下腫瘍様隆起あり.生検は施行できなかったが,病変肛門側に点墨,クリッピングでマーキング施行.画像上,単発性病変で,他に転移再発所見を認めないことから切除の方針とし,術後1年3か月後に腹腔鏡補助下回腸部分切除術施行した.小腸腫瘤は回腸末端から60cm程度口側の腸間膜側に存在し,壁外病変か腸管内病変かは判断不能であった.術後経過良好で第6病日に退院された.
最終病理結果は横行結腸癌の小腸転移で,腫瘍細胞は漿膜下組織から固有筋層にかけ増殖していた.転移経路については病理学的には断定できなかった.現在,再発なく外来経過観察継続中である.
(考察)大腸癌の小腸転移は3.8%以下と頻度の低い再発部位である.また播種性再発など全身転移の一つとして発見されることが多く局所治療の適応となることは少ない.今回,我々はCEA上昇を契機にダブルバルーン内視鏡などで精査施行し,R0手術可能と判断して腹腔鏡下手術を選択した.手術施行された小腸転移症例は比較的予後良好と報告されており,R0手術を施行した本症例の予後改善の可能性も示唆される.
(結語)小腸腫瘍に対する内視鏡は有用で,単発性小腸転移は腹腔鏡下手術の良い適応と考える.