講演情報

[O9-1]肥満症例に対するtaTMEの短期成績

寺村 紘一, 北城 秀司, 大川 裕貴, 関谷 翔, 宮坂 衛, 才川 大介, 鈴木 善法, 川原田 陽, 奥芝 俊一 (斗南病院外科)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【背景】taTMEは腹腔側からのアプローチでは困難とされる症例に質の高い切除が期待できる術式である.肥満患者は腹腔内脂肪の増加により手術の技術的難度を高め術後合併症のリスク要因の一つである.当院で実施したtaTME症例のうち,肥満による術後短期成績への影響を明らかにすることを目的に検討を行った.
【対象と方法】2019年4月から2024年3月の期間に経会陰/経肛門鏡視下アプローチを実施した連続する下部直腸腫瘍症例110例のうち,他臓器合併切除症例を除外した90例を対象とした.BMI:25kg/m2未満をA群,25kg/m2以上をB群に分けて後方視的に治療成績を検討した.手術は2-team同時で実施し,腹部操作は単孔式プラス1ポートで術者とスコープ助手の2人で実施した.【結果】それぞれの群間に年齢,性別,肛門縁から腫瘍の距離,術式(LAR,ISR,APR)に差はなかった.側方郭清を実施した症例はなかった.diverting stomaはA群46%,B群42%に作成した.手術時間中央値はそれぞれ204,226分(p=0.022)でありBMIが高い群で有意に長かった.病理結果は,pRM1がそれぞれ2例,0例であった.術後合併症はClavien-Dindo GradeIII以上がそれぞれ16%,17%(p=0.82),術後在院日数中央値は16日,16日(p=0.815)と群間の差はなかった.【結語】下部直腸腫瘍に対するtaTMEの短期成績において,肥満症例は手術時間を延長させたが術後成績は非肥満症例と同等の結果であった.