講演情報
[P17-2-1]食餌性腸閉塞を合併した下行結腸癌に対する大腸ステント留置後の1切除例
鄭 暁剛, 黨 和夫, 丸山 圭三郎, 内田 史武 (国立病院機構嬉野医療センター消化器外科)
症例は81歳,男性.食欲不振,嘔気を主訴に近医を受診しイレウスが疑われ精査目的に当院紹介受診した.腹部造影CTで下行結腸に限局性の壁肥厚と内腔狭窄があり,その口側には多数の種子が積み重なり口側腸管は著明に拡張していた.問診から本人は健康づくりの一環で習慣的に梅種子を飲み込んでいた.下行結腸癌による閉塞に加え,食餌性腸閉塞の病態と考え,大腸ステントを留置した.大腸ステント留置後,梅種子は排泄されず,水様便は得られたが食事を流動食以上に上げると腸閉塞を再燃する状態であった.ステント留置2週間後に腹腔鏡下結腸左半切除術を施行した.腫瘍口側腸管が梅種子により拡張し,硬さもあったため,脾弯曲を頭側からアプローチする際と,授動後に腸管を体腔外に出す際の操作にやや困難を伴ったが,型通りに結腸左半切除術を施行した.標本を開くと下行結腸に全周性の2型腫瘍を認め,口側には118個の梅種子が見られ,口側腸管は一部で種子との物理的接触による壁損傷が疑われたが穿孔には至っていなかった.術後麻痺性イレウスを認めたが保存的加療で軽快した.大腸癌閉塞に食餌性イレウスを合併した症例の報告は少なく,大腸ステント留置後も通過障害が残存する可能性,閉塞の原因となった物体によっては早期に手術を考慮すべき可能性があると思われた.