講演情報

[P5-1-4]化学療法中に左鎖骨上リンパ節転移が出現した切除不能盲腸癌で急性虫垂炎症状を呈したために手術療法を要した1例

長嶋 康雄, 渡邉 健太郎, 澤野 貴亮, 吉野 翔, 馬越 俊輔, 金子 弘真, 田村 晃 (JCHO東京蒲田医療センター)
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症例は70歳代,男性.健康診断にて多発性肝腫瘤と膵腫瘍を指摘されて2年8か月前に当院を受診した.精査にて,同時性肝転移と腹腔内の領域外リンパ節転移を伴う切除不能盲腸癌と診断し,FOLFOX+Bevacizumab療法を開始した.10クールを終了した時点でPET-CTにて評価したところ,肝転移巣と両側傍大動脈リンパ節は消失し,原発巣は縮小・FDG集積低下が認められたが,単発の左鎖骨上リンパ節転移が出現した.更に化学療法を5クール追加した時点で,肝転移消失は継続,左鎖骨上リンパ節転移の増大は無かったが,局所の軽度増大と所属リンパ節の増大を認めた.その後,発熱の右下腹部痛が出現し,腫瘍性の虫垂炎を併発したが著明な新規病変の出現は認められず,1年5か月前にConversion手術として結腸右半切除術と左鎖骨上リンパ節摘出術を施行した.病理組織診断で化学療法の治療効果はGrade1aだった.術後縫合不全を認めたが1年3か月前より術後補助化学療法としてFOLFOX療法を開始した.1年2か月前にCEAの上昇があり,腹部造影CT(PETは?)で大動脈周囲リンパ節のリンパ節再発が認められたために,2次治療としてFOLFILI+Bevacizumab療法を開始し継続中である.左鎖骨上リンパ節転移を伴う大腸癌の報告は少なく,切除不能盲腸癌に対する化学療法中に出現した単発の左鎖骨上リンパ節転移に対してConversion手術を施行し得た本症例について,文献的考察を加えて報告する.