講演情報
[P8-1-6]ロボット支援下直腸切断術におけるストーマ造設の工夫
井出 義人, 野中 亮児, 山川 拓真, 岡 啓史, 村上 剛平, 山中 千尋, 出村 公一, 森本 修邦, 西田 俊朗 (JCHO大阪病院外科)
直腸がんに対する腹会陰式直腸切断術(以下APR)のストーマ造設経路として,腹腔内経路と後腹膜経路がある.腹腔内経路は後腹膜経路に比べ,傍ストーマヘルニアの発生頻度が高く,後腹膜経路が推奨されているが,腹腔鏡手術ではやや手技が煩雑であることが問題であった.当院でも2024年よりロボット支援下手術を導入し,直腸がんに対するAPRにおいて,後腹膜経路によるストーマ造設を施行している.腹腔側からの肛門挙筋切離後,肛門側操作を始める際に,2チームに分かれ,腹腔内で口側腸間膜処理,口側腸管切離を行い,続けて後腹膜経路作成を行う.下行結腸外側の腹膜切離端を少し広げ,腹膜の剥離をおこなう.ロボットによる多関節鉗子のため,鋭的剥離を広い範囲で進めることができる.剥離面の直視が難しくなった段階で,4番のTIP UP Grasperを用い,鈍的にストーマ造設予定部近くまで剥離を行う.ロボットの多関節鉗子のため,かなり腹側まで剥離可能である.ある程度広い範囲の剥離を行っておく.続いて,ストーマサイトマーキング部を3cm程度切開し,腹直筋前鞘切開,腹直筋を分け,後鞘を切離し腹膜前腔に到達,鈍的に剥離すると,容易に腹腔側からの空間とつながる.その段階でEZ accessを同部に装着し,腹腔鏡下に結腸断端ねじれのない様に挙上する.現在まで,同様の方法を2例に対して施行し,良好な経過を得ている.直腸がんに対するAPRにおける後腹膜経路ストーマ造設はロボット支援下により,比較的容易に施行可能であり,有用な方法であると考える.