講演情報

[O25-7]当院での直腸脱に対する術式選択の妥当性とその治療成績の検討

牧角 良二1, 福岡 麻子1, 浜辺 太郎1, 佐々木 大祐1, 西澤 一1, 内藤 正規2, 四万村 司3, 大坪 毅人1 (1.聖マリアンナ医科大学消化器一般外科, 2.聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院消化器一般外科, 3.川崎市立多摩病院消化器一般外科)
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直腸脱は高齢女性に多く見られ日常生活において脱出に伴う違和感や疼痛またときに出血を伴い患者自身のQOLを低下させる.当科では全身麻酔可能症例に対しては再発率の低いとされる腹腔鏡下直腸固定術(Laparoscopic Rectopexy LR)を施行している.当初はメッシュを使用しない術式を行っていたが,現在ではメッシュを使用した後方固定術を基本としている.しかし本術式は全身麻酔が必須であり併存疾患を多く抱えた高齢者では施行できない症例も多くその際には経肛門手術を選択している.今回は術式選択の妥当性とその治療成績について報告する.
【対象】2010年4月から2023年12月までに手術が行われた直腸脱(再発含む)93症例.
【結果】性別:男性8例,女性85例.年齢:経肛門手術86歳(68-96),経腹的手術79歳(34-96).アプローチ方法:経肛門的42例,経腹的51例
術式:経肛門的手術:Miwa-Gant±Thiersch 33例(子宮脱合併2例),Delorme法 6例,Altemeier法3例,経腹的手術:LR 51例
手術時間:経肛門手術107min(53-278),経腹的手術169min(115-489),出血量:経肛門手術38.5ml(5-555),経腹的手術5ml(5-396)術後合併症:経肛門手術 人工靭帯感染3例,経腹的手術 ポーサイトヘルニア1例・腓骨神経麻痺1例・低血糖1例,腹腔内血腫1例,術後在院日数:経肛門手術8日(4-15),経腹的手術8日(3-44),術後再発:経肛門的12例 28.6%(再手術7例),経腹的5例 9.8%(再手術4例)
LR症例:メッシュ無し(n-M)6例,メッシュ使用(M)45例 術式:後方固定44例,前方固定1例,手術時間min:n-M 165,M 176 術後合併症:n-M 1例(16.7%)M 3例(6.7%)再発率:n-M 2例(33%),M 3例(6.7%)
【まとめ】経肛門手術は高齢者に多く施行されており,手術時間が短く出血量が少ない傾向であった.しかし経腹的手術に比して術後再発が多い傾向であった.
経腹的手術ではメッシュ使用症例において再発率が低い傾向であった.
当院での直腸脱に対する外科治療は安全に行われていると思われるが,長期成績はまだまだ満足いくものではなく再発症例を検討し今後術式の工夫も必要であると思われる.