講演情報

[P1-2-6]排便障害に伴う諸症状に対してストーマを造設した脊髄損傷症例の検討

羽根田 祥1, 高橋 賢一1, 松村 直樹2, 野村 良平2, 齋藤 匠2, 金原 圭吾2, 佐藤 馨2, 榊間 貴滉2, 笹川 佳樹2, 岡崎 由佳利3, 斉藤 真澄3, 田村 敏也3, 菊地 湖3, 成島 陽一2, 徳村 弘実2 (1.東北労災病院大腸肛門外科, 2.東北労災病院消化器外科, 3.東北労災病院看護部)
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【はじめに】脊髄損傷患者ではしばしば排便障害を起こすことが多く,QOL低下に直結することが知られている.症状改善のためにはストーマを造設することが有用である場合があると考えられるが,ストーマの有用性について検討した報告は少ない.
 【方法】2011年6月より2024年3月に当院で排便障害に伴う諸症状のために脊髄損傷患者に対して消化管ストーマを造設した6例について診療録を調査して検討した.
 【結果】全例男性であり,年齢は64歳(57-71),脊髄損傷後経過年数は32年(1-59)であった.ストーマ造設となった理由はそれぞれ便失禁,慢性便秘による腹満,直腸潰瘍,肛門部瘻孔,摘便時肛門痛,S状結腸過長であり,造設部位はS状結腸が5例で横行結腸が1例,ストーマの型は双孔式3例,end-loop式2例,単孔式1例であった.術後早期合併症はoutlet obstructionを1例,晩期合併症は傍ストーマヘルニアが1例に認めたのみであり,いずれも保存的に改善した.術後経過観察期間は2.7年(0.2-12.9)であった(数値はいずれも中央値).のちに食道癌を発症した1例以外の5例は現在も外来定期観察中であり,いずれの症例もストーマ造設の理由となった症状は改善しており,ストーマケアも大きな問題なく行えている.
 【まとめ】重篤な術後合併症はなく,安全な治療が行えていた.また,造設の原因となった諸症状は改善し,ストーマケアも問題なく行えており有用な結果であったと考えられた.