講演情報
[SR1-6]ロボット結腸癌手術における体腔内吻合~10分以内で終えるには~
武居 晋, 後藤 佳登, 平木 将紹, 真鍋 達也, 能城 浩和 (佐賀大学病院一般・消化器外科)
【はじめに】ロボット支援結腸癌手術における体腔内吻合には小さな開腹創で最小限の腸管授動での吻合が可能になることや出血の減少等の利点がある.一方,手技的な難易度が高く,残便による感染の増加や腫瘍細胞の散布による再発の懸念などは明らかになっていないが,腸管内容の散布を最小限にするには円滑な操作な吻合を行うことが重要であると考えられる.当科では各段階での手技のポイントを明確にすることで右側結腸癌の症例では10分以内での吻合が可能になった.今回,我々が行っている手技のポイントを提示する.【手術手技】当科では2022年6月のロボット支援結腸癌手術の導入と同時に全症例で体腔内吻合を開始した.全例にmechanical +chemical preparationを行ない,functional end-to-end anastomosisを基本とした.円滑な吻合手技のポイントとして,ステープラーは助手ポートから挿入し,術者の指示がない限り動かさないこと,ステープラーの挿入口は余裕を持って大きめに開けること,ロボット鉗子が2本ある側の腸管から先にステープラーを挿入すること,挿入口の閉鎖の際に縫合による仮閉鎖は必要がなければ行わないこと等が挙げられる.【結果】これまでに47例のロボット支援結腸体腔内吻合を行い,直近10例の右側結腸切除症例中7例では10分以内(7−14分)で吻合を完了することができた.縫合不全や腹腔内膿瘍,播種再発は経験していないが,腫瘍学的な評価は今後継続していく必要がある.