講演情報
[O14-2]完全直腸脱に対するAltemeier法とDelorme法の術後再発の予測リスク因子の検討
三浦 康之, 栗原 聰元, 吉田 公彦, 甲田 貴丸, 長嶋 康雄, 鈴木 孝之, 鏡 哲, 金子 奉暁, 牛込 充則, 船橋 公彦 (東邦大学医療センター大森病院一般・消化器外科)
目的:直腸脱に対して外科的手術が直腸の脱出を修復し,失禁,排便障害,出血等の直腸脱関連症状を改善する最良のアプローチであり,経腹的または経会陰的アプローチを用いた手術が行われている.経会陰的手術は,経腹的手術に比べて手術リスクや術後合併症が少ない等の利点がある一方で,高い再発率が課題となっている.これまでの報告によると直腸脱に対する腹腔鏡手術は再発率が低く安全に施行できる.経会陰的手術後に再発を繰り返す直腸脱患者を術前に診断・評価できれば,術後再発を最小限に抑える低侵襲手術を提案することができる.そこで我々は,完全直腸脱に対して経会陰的手術として施行したAltemeier法とDelorme法を受けた患者における術後再発のリスクを明らかにすることを目的とした.
方法:2008年4月から2021年9月までに完全直腸脱に対してAltemeier法とDelorme法を受けた患者127例を対象とし,再発群と非再発群に分類し,単変量解析と多変量解析を行い,7つの独立変数を用いた.(年齢,BMI,直腸脱に対する外科的修復歴,他臓器脱の併存,術前排便造影での直腸の固定不良,脱出腸管長,術式の種類(Altemeier法またはDelorme法)).
結果:観察期間中央値453(9-3616)日の間に51例(40.1%)に術後再発を認めた.再発群(n=51)と非再発群(n=76)を比較すると,単変量解析では他臓器脱の併存に関して有意差が認められた(p=0.017).多変量解析では,BMI(OR 1.18,95%CI 1.030-1.350,p=0.020),他臓器脱の併存(OR 3.38,95%CI 1.200-9.500,p=0.021),脱出腸管長(OR 1.030,95%CI 1.010-1.060,p=0.015),術前排便造影での直腸の固定不良(OR 0.332,95%CI 0.129-0.852,p=0.022),術式の種類においてDelorme法(OR 0.192,95%CI 0.064-0.573,p=0.003)で統計学的有意差を認めた.
結論:本研究は,BMIの増加,他臓器脱の併存,脱腸腸管長,術前の排便造影における直腸の固定不良,およびDelorme法が完全直腸脱の経会陰的手術後の再発のリスク因子である可能性を示唆された.これらのリスク因子をもつ直腸脱患者を同定し,経腹的手術を選択することにより術後再発率を抑えられると思われる.
方法:2008年4月から2021年9月までに完全直腸脱に対してAltemeier法とDelorme法を受けた患者127例を対象とし,再発群と非再発群に分類し,単変量解析と多変量解析を行い,7つの独立変数を用いた.(年齢,BMI,直腸脱に対する外科的修復歴,他臓器脱の併存,術前排便造影での直腸の固定不良,脱出腸管長,術式の種類(Altemeier法またはDelorme法)).
結果:観察期間中央値453(9-3616)日の間に51例(40.1%)に術後再発を認めた.再発群(n=51)と非再発群(n=76)を比較すると,単変量解析では他臓器脱の併存に関して有意差が認められた(p=0.017).多変量解析では,BMI(OR 1.18,95%CI 1.030-1.350,p=0.020),他臓器脱の併存(OR 3.38,95%CI 1.200-9.500,p=0.021),脱出腸管長(OR 1.030,95%CI 1.010-1.060,p=0.015),術前排便造影での直腸の固定不良(OR 0.332,95%CI 0.129-0.852,p=0.022),術式の種類においてDelorme法(OR 0.192,95%CI 0.064-0.573,p=0.003)で統計学的有意差を認めた.
結論:本研究は,BMIの増加,他臓器脱の併存,脱腸腸管長,術前の排便造影における直腸の固定不良,およびDelorme法が完全直腸脱の経会陰的手術後の再発のリスク因子である可能性を示唆された.これらのリスク因子をもつ直腸脱患者を同定し,経腹的手術を選択することにより術後再発率を抑えられると思われる.