講演情報
[P5-2-6]直腸癌に対するロボット支援下手術における直腸切離Staplerの検討
本庄 薫平, 安藤 裕二, 幸地 彩貴, 十朱 美幸, 仲川 裕喜, 高橋 宏光, 入江 宇大, 村井 勇太, 百瀬 裕隆, 雨宮 浩太, 土谷 祐樹, 塚本 亮一, 盧 尚志, 河合 雅也, 石山 隼, 杉本 起一, 髙橋 玄, 小島 豊, 坂本 一博 (順天堂大学大腸肛門外科)
【はじめに】直腸癌に対するロボット支援下腹腔鏡手術(RALS)は,急速に導入され現在では多くの施設で施行されている.DST吻合を用いた低位前方切除術では,縫合不全(AL)が重篤な術後合併症の1つであり,約10%前後の発生率が報告されている.Da Vinci Xiを用いたRALSにおいて,直腸切離にはendo-staplerやda Vinci stapler(EndoWristⓇ,SureFormⓇ)を選択できるが,それぞれのstaplerの縫合長や幅,可変角度に違いがある.Staplerの使用成績について検討したので報告する.【対象と方法】2022年12月までに当科で行った直腸腫瘍に対するRALSにおいてDST吻合を施行した87例を対象に,直腸切離にendo-staplerを用いたES群(24例)とrobotic stapleを用いたRS群(63例)に分けて比較検討した.【結果】今回の対象症例87例に関して,年齢の中央値は64歳(34歳~82歳)で,男性:54例,女性:33例であった.腫瘍の占居部位はRS:4例,Ra:48例,Rb:35例で,術前治療はCRT:18例,NAC:18例に施行した.術式では,高位前方切除:11例,低位前方切除:76例で,側方郭清は19例(21.8%)に行った.Diverting stoma(DS)は60例(69.0%)に造設した.直腸切離にStapleを3個以上使用したMultiple stapler firing(MSF)は13例(14.9%)であった.縫合不全(AL)は10例(10.5%)に認め,Grade A:6例,B:4例であった.DS造設ではES群:21例(87.5%),RS群:39例(61.9%)で,ES群にDS造設例が多かった(n=0.02).その他,MSF例や縫合不全には有意差はなかった.【まとめ】今回の検討ではEndoWristⓇ,SureFormⓇのergonomicsがMSFや縫合不全を低下する因子には選択されなかったが,da Vinci staplerの特徴を活かして,縫合不全の低下を目指していきたいと考える.