講演情報

[P16-1-7]腸重積で発見された回腸悪性リンパ腫に対して腹腔鏡下回盲部切除術を施行した1例

蔦保 暁生, 真木 健裕, 金古 裕之, 三栖 賢次郎, 猪俣 斉, 近江 亮 (釧路赤十字病院外科)
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症例は38歳の女性.以前よりプロラクチノーマで当院内科通院中であった.2か月ほど前より食後の心窩部痛を認めており,スクリーニング目的で施行したCT検査で回腸末端が横行結腸に重積していた.下部消化管内視鏡検査では,隆起性腫瘍を横行結腸に認め,ガストロ造影ではカニ爪様所見を認めた.内視鏡的整復が困難であり,手術施行の方針となった.腹腔鏡下で横行結腸の腫瘍先進部から,口側に重積を解除していったが,バウヒン弁から口側に重積を解除できず,腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.回腸末端に25×20mmの1型腫瘍を認め,病理組織学的検査では,核形不整,クロマチン粗造な中型の異型リンパ球が充実びまん性に浸潤増殖していた.免疫染色では,CD3陰性,CD10陽性,CD20陽性でDiffuse Large B cell lymphoma(DLBCL)の診断となった.術後他院の血液内科で化学療法を行い,術後7年間無再発生存中である.悪性リンパ腫は小腸腫瘍の中では頻度の高い疾患である.腸管悪性リンパ腫に対する外科治療は必要最小限の侵襲で行い,術後早期の化学療法移行が必須である.今回我々は腸重積を合併した回腸悪性リンパ腫に対して,腹腔鏡下回盲部切除術を施行した1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.