講演情報
[VPD3-9]下部消化管穿孔に対するMISと大腸外科医の役割
宮北 寛士, 間室 奈々, 大宜見 崇, 茅野 新, 森 正樹, 山本 聖一郎 (東海大学消化器外科)
【はじめに】下部消化管穿孔の原因は悪性腫瘍や憩室炎,医原性など様々であるが,糞便による汚染によって重篤な腹膜炎をおこし,予後不良な疾患である.近年では下部消化管穿孔に対する腹腔鏡手術も行われている.しかし,腹膜炎の緊急手術は待機手術に比較し視野の確保が困難であることや不十分な腹腔内洗浄,手術時間の延長による侵襲など課題とされ,腹腔鏡手術はより習熟した外科医が行う必要がある.今回,自施設での下部消化管穿孔に対する腹腔鏡手術の工夫と成績,特に大腸外科の役割について報告する.
【対象】2019年から2023年に左側大腸穿孔による汎発性腹膜炎に対してハルトマン手術を施行した35例を対象とした.汚染度はHinchey分類を用い,Stage3が15例,Stage4が20例であった.【手術手技】穿孔部切除を行う際に腹腔鏡下に固形の便はすべて洗浄吸引する.小開腹から穿孔部を切除し,小開腹創から洗浄する.体位を変換しながら洗浄し,最後はダグラス窩に集めて吸引する.再気腹し,評価し洗浄鉗子で洗浄する.視野の確保については,待機手術では内側アプローチを基本としているが,緊急手術では小腸の拡張により内側アプローチから開始することが困難となることが多く外側アプローチを選択することもある,十分に外側授動を行うことで腸間膜処理の視野作成が容易になる.【手術成績】大腸外科グループの対応により差があるか各因子を検討した.腹腔鏡手術は大腸外科群68%,大腸外科以外は23%で有意に大腸外科群が多かった(p<0.0099).手術時間は腹腔鏡手術が多いにも関わらず大腸外科群で有意に短かった(p=0.0496).出血量,在院日数は大腸外科群で少なく,短い傾向がみられたが統計学的に有意な関連を認めなかった(p=0.5170,0.3293).合併症発生率,救命率は有意な関連を認めなかった.【結語】当科における下部消化管穿孔に対する腹腔鏡手術の工夫を報告した.大腸外科の積極的な介入により,手術時間は短いにもかかわらず腹腔鏡手術率が高くなった.しかし,合併症率,救命率については関連を認めることはなかった.
【対象】2019年から2023年に左側大腸穿孔による汎発性腹膜炎に対してハルトマン手術を施行した35例を対象とした.汚染度はHinchey分類を用い,Stage3が15例,Stage4が20例であった.【手術手技】穿孔部切除を行う際に腹腔鏡下に固形の便はすべて洗浄吸引する.小開腹から穿孔部を切除し,小開腹創から洗浄する.体位を変換しながら洗浄し,最後はダグラス窩に集めて吸引する.再気腹し,評価し洗浄鉗子で洗浄する.視野の確保については,待機手術では内側アプローチを基本としているが,緊急手術では小腸の拡張により内側アプローチから開始することが困難となることが多く外側アプローチを選択することもある,十分に外側授動を行うことで腸間膜処理の視野作成が容易になる.【手術成績】大腸外科グループの対応により差があるか各因子を検討した.腹腔鏡手術は大腸外科群68%,大腸外科以外は23%で有意に大腸外科群が多かった(p<0.0099).手術時間は腹腔鏡手術が多いにも関わらず大腸外科群で有意に短かった(p=0.0496).出血量,在院日数は大腸外科群で少なく,短い傾向がみられたが統計学的に有意な関連を認めなかった(p=0.5170,0.3293).合併症発生率,救命率は有意な関連を認めなかった.【結語】当科における下部消化管穿孔に対する腹腔鏡手術の工夫を報告した.大腸外科の積極的な介入により,手術時間は短いにもかかわらず腹腔鏡手術率が高くなった.しかし,合併症率,救命率については関連を認めることはなかった.