講演情報

[P5-2-5]三角吻合におけるECHELON ENDOPATH Staple Line Reinforcementの有用性の検討

佐々木 茂真, 伊藤 沙姫, 高田 直樹, 渡部 通章 (厚木市立病院・外科)
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【緒言】2020年に友利らが牛の腸管を用いて三角吻合,機能的端々吻合,DST吻合,手縫い吻合の吻合部モデルを作成し,各吻合部の耐圧実験を行い,三角吻合が有意差をもって耐圧値が高い事を報告した.
 【目的】ECHELON ENDOPATH Staple Line Reinforcement(以下ECHELON SLR)の三角吻合の耐圧に対しての有用性を検討する.
 【方法】自動縫合器はジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社のPowered ECHLON FLEX,ステープラーはGold 60mmを用いて牛の腸管で三角吻合を行い,吻合部モデルを合計20個作成した.20個の吻合部モデルのうち10個はECHELON SLRを使用した群(以下SLR群),10個は使用してない群(以下non SLR群)に分類した.吻合にはステープラーを3つ用いて作成し,ECHELON SLRは外反し縫合する2つの斜辺に対してそれぞれ使用した.水槽内に吻合部モデルを沈め,腸管の一方から注入用のチューブを腸管内に留置し刺入部を結紮し,対側はリスターで把持し閉鎖した.腸管内に50mlのシリンジで10ml/secの速度で空気を注入し,リークが生じた圧力(kPa)を耐圧値として測定し,リークが生じた部位を確認した.圧測定にはNidec株式会社のHANDY MANOMETER PG-100 102GPを使用した.統計学的解析にはt検定を使用し,統計学的有意水準はP<0.05とした.
 【結果】データは平均値±標準偏差とした.吻合部の半周の長さはSLR群38.2±0.7mm,non SLR群38.3±0.5mmであり両群に有意差は認めなかった.リーク部位(SLR群:non SLR群)は内反外反の交点(8:8),頂点(2:1),後壁(0:1)であり有意差は認めなかった.耐圧値はSLR群20.6±3.1 kPa,non SLR群13.3±1.5kPaでありP<0.05で有意差を認めた.
 【結語】三角吻合におけるECHELON SLRの使用は,吻合部の耐圧性を高める事が示唆された.