講演情報
[PD9-2]難治性潰瘍性大腸炎に対するトファシチニブの長期有効性と安全性
米田 頼晃, 河野 匡志, 永井 知行, 半田 康平, 正木 翔, 辻 直子, 樫田 博史, 工藤 正俊 (近畿大学医学部消化器内科)
【目的】
潰瘍性大腸炎(UC)に対する治療選択肢が増え2018年から経口JAK阻害剤であるトファシチニブ(TOF)が用いられているが,長期有効性や安全性の報告は十分ではなく,当施設のリアルワールドでの成績を解析することを目的とした.
【対象と方法】
2018年10月から2024年5月までの間にTOFを投与した難治性UC 63例を対象とした.患者背景,ステロイド抵抗性・依存性の有無,バイオ使用歴の有無,臨床反応有効率,寛解導入率,ステロイドフリー寛解率,臨床反応に関連した因子を単変量・多変量解析,有害事象をおこなった.臨床的活動度はpMayo3点以上減少かつ血便スコア1点以上の減少もしくは1以下を有効とし,pMayo2点以下かつ,各サブスコア1点以下血便スコア0を寛解と定義した.
【結果】
男性37例(59%)女性26例(41%),平均年齢47.9歳,全大腸炎型57例(90%),左側大腸炎型6例(10%),PMS中央値7.0[3-9],ステロイド抵抗例5例(79%),ステロイド依存例58例(92%)であった.バイオ使用歴25例(40%)であった.26週,52週,78週の臨床反応率は63.4%,55.6%,42.9%,寛解導入率はそれぞれ54.0%,44.4%,41.2%,ステロイドフリー寛解はそれぞれ54.0%,44.4%,41.2%であった.26週の臨床反応に関連した因子を単変量・多変量解析すると投与期間で有意差を認めており,26週の時点に反応が見られたものは長期間の投与ができていた.また臨床寛解した34例を20mgから10mgに減量したが30例が継続可能であった.バイオナイーブ症例の臨床反応は27/38(71.1%),バイオ1剤は9/18(50.0%),2剤以上は5/7(71.4%)であった.有害事象については,感染症は4例(帯状疱疹3例(4.8%),COVID-19呼吸器感染 1例(1.6%)),血栓症2例(3.2%),血球減少1例(1.6%),血栓症2例(3.2%)で,悪性腫瘍の発生は認めていない.また消化器症状4例(6.3%),脂質異常4例(6.3%)を認めた.
【結語】
難治性UCにおけるJAK阻害剤の早期治療効果が確認され,早期に臨床反応がみられた症例は長期投与できていた.またバイオ使用例でも治療効果が良好であった.有害事象についても事前に予測,早期対応することで重篤化した症例はほとんど認めなかった.
潰瘍性大腸炎(UC)に対する治療選択肢が増え2018年から経口JAK阻害剤であるトファシチニブ(TOF)が用いられているが,長期有効性や安全性の報告は十分ではなく,当施設のリアルワールドでの成績を解析することを目的とした.
【対象と方法】
2018年10月から2024年5月までの間にTOFを投与した難治性UC 63例を対象とした.患者背景,ステロイド抵抗性・依存性の有無,バイオ使用歴の有無,臨床反応有効率,寛解導入率,ステロイドフリー寛解率,臨床反応に関連した因子を単変量・多変量解析,有害事象をおこなった.臨床的活動度はpMayo3点以上減少かつ血便スコア1点以上の減少もしくは1以下を有効とし,pMayo2点以下かつ,各サブスコア1点以下血便スコア0を寛解と定義した.
【結果】
男性37例(59%)女性26例(41%),平均年齢47.9歳,全大腸炎型57例(90%),左側大腸炎型6例(10%),PMS中央値7.0[3-9],ステロイド抵抗例5例(79%),ステロイド依存例58例(92%)であった.バイオ使用歴25例(40%)であった.26週,52週,78週の臨床反応率は63.4%,55.6%,42.9%,寛解導入率はそれぞれ54.0%,44.4%,41.2%,ステロイドフリー寛解はそれぞれ54.0%,44.4%,41.2%であった.26週の臨床反応に関連した因子を単変量・多変量解析すると投与期間で有意差を認めており,26週の時点に反応が見られたものは長期間の投与ができていた.また臨床寛解した34例を20mgから10mgに減量したが30例が継続可能であった.バイオナイーブ症例の臨床反応は27/38(71.1%),バイオ1剤は9/18(50.0%),2剤以上は5/7(71.4%)であった.有害事象については,感染症は4例(帯状疱疹3例(4.8%),COVID-19呼吸器感染 1例(1.6%)),血栓症2例(3.2%),血球減少1例(1.6%),血栓症2例(3.2%)で,悪性腫瘍の発生は認めていない.また消化器症状4例(6.3%),脂質異常4例(6.3%)を認めた.
【結語】
難治性UCにおけるJAK阻害剤の早期治療効果が確認され,早期に臨床反応がみられた症例は長期投与できていた.またバイオ使用例でも治療効果が良好であった.有害事象についても事前に予測,早期対応することで重篤化した症例はほとんど認めなかった.