講演情報
[R15-6]直腸肛門機能障害に対して低周波電気刺激を用いた治療を行うチーム医療~多職種で行うニューロモデュレーションセンター~
高野 正太, 伊禮 靖苗 (大腸肛門病センター高野病院大腸肛門機能科)
【はじめに】便失禁,排便困難,機能性直腸肛門痛はROMEIVにおいて直腸肛門機能障害とされる.治療として低周波電気刺激療法の報告が増えている.当院ではニューロモデュレーションセンターeS Laboと称して低周波電気刺激療法に力を入れ,脛骨神経刺激療法(Posterior Tibial Nerve Stimulation,PTNS),経肛門刺激療法(Trans Anal Electrostimulation,TAES),仙骨神経刺激療法(Sacral Neuromodulation,SNM),脊髄刺激療法(Spinal Cord Stimulation,SCS)を施行している.センターでは医師,臨床工学士,臨床検査技師,理学療法士,看護師が協力して診療にあたる.
【PTNS】両側脛骨神経に電極パッドを貼付し体外式電流刺激を行う.看護師,理学療法士,臨床工学士が治療を行う.便失禁に対して1週間の便失禁回数は4.7から1.5に有意差をもって減少し,76.2%の症例で失禁回数が半数以下に減少した.直腸肛門痛においては,VAS疼痛スケールが5.3から2.0へと有意差をもって低下した.
【SNM】まず仙骨孔を介し刺激電極を仙骨神経に沿って挿入.1週間の試験刺激の後効果が認められた場合,刺激装置植え込みを行なう.当院では2014年10月から2024年4月まで35例に施行.適応と判断された患者への術前説明の介入から刺激装置植込み部のマーキング,術後の刺激セッティング,患者のセルフコントロール指導を臨床工学士が中心になって行っている.
【SCS】まず脊椎L2-3間から硬膜外腔に刺激電極を尾側に向かって刺入するか,または仙骨神経に沿って電極を進入させ留置し,試験刺激にて効果が認められた場合刺激装置植え込みを行なう.当院では2016年6月から2024年4月まで25例に施行.VAS疼痛スケールは平均78から36へ低下した.SNMと同様に臨床工学士が積極的に介入し,日本初の遠隔での刺激コントロールも行っている.
【まとめ】直腸肛門機能障害に対して低周波電気刺激療法の効果が認められるが,機器の取り扱いには専門知識を要し,また患者への指導に時間がかかる.当院ではニューロモデュレーションセンターとしてチーム医療を行い,臨床工学士を中心としてタスクシフトを行い患者のQOL向上および働き方改革を実現している.
【PTNS】両側脛骨神経に電極パッドを貼付し体外式電流刺激を行う.看護師,理学療法士,臨床工学士が治療を行う.便失禁に対して1週間の便失禁回数は4.7から1.5に有意差をもって減少し,76.2%の症例で失禁回数が半数以下に減少した.直腸肛門痛においては,VAS疼痛スケールが5.3から2.0へと有意差をもって低下した.
【SNM】まず仙骨孔を介し刺激電極を仙骨神経に沿って挿入.1週間の試験刺激の後効果が認められた場合,刺激装置植え込みを行なう.当院では2014年10月から2024年4月まで35例に施行.適応と判断された患者への術前説明の介入から刺激装置植込み部のマーキング,術後の刺激セッティング,患者のセルフコントロール指導を臨床工学士が中心になって行っている.
【SCS】まず脊椎L2-3間から硬膜外腔に刺激電極を尾側に向かって刺入するか,または仙骨神経に沿って電極を進入させ留置し,試験刺激にて効果が認められた場合刺激装置植え込みを行なう.当院では2016年6月から2024年4月まで25例に施行.VAS疼痛スケールは平均78から36へ低下した.SNMと同様に臨床工学士が積極的に介入し,日本初の遠隔での刺激コントロールも行っている.
【まとめ】直腸肛門機能障害に対して低周波電気刺激療法の効果が認められるが,機器の取り扱いには専門知識を要し,また患者への指導に時間がかかる.当院ではニューロモデュレーションセンターとしてチーム医療を行い,臨床工学士を中心としてタスクシフトを行い患者のQOL向上および働き方改革を実現している.