講演情報
[O14-4]当院で行われている直腸脱に対する経肛門的アプローチのポイント
豊島 明, 金子 学, 赤井 隆司, 佐々木 愼 (日本赤十字社医療センター大腸肛門外科)
[はじめに]近年直腸脱に対し経肛門アプローチを選択する機会が増えているが,その手術適応は施設によって異なっているのが現状である.[目的]今回我々の施設で経肛門的アプローチにて手術を行った症例を経腹的アプローチの症例と比較検討し,経肛門的アプローチの適応と注意点などを検討した.[対象と方法]2016年以降の経肛門的アプローチ(以下,経肛門群)31例(Gant-三輪-Thiersch法(以下GMT法)7例,Delorme法 5例,Altemeier法 19例)と経腹的アプローチにて直腸固定術を施行した(以下,経腹群)8例を対象とし,患者背景,手術時間,術後在院日数,術後合併症などを経肛門群と経腹群で比較検討した.なお当院での直近の経腹的手術適応は,直腸脱の長さが約13cm以下で再発症例を除くとしている.[Altemeier法における手術手技における注意点]直腸を切除しすぎない.[結果]直腸脱の長さ 経肛門群:5.9cm,経腹群:11.7cm,手術時間 経肛門群:91m,経腹群:309m,在院日数 経肛門群:13日,経腹群:8日,術後合併症 経肛門群:肛門狭窄2例,縫合不全1例 経腹群:無.その他の患者背景に関し差はなかった.[まとめ]1,手術時間に関しては経肛門群に短い結果であったが,在院期間は経腹群に長い傾向がみられた.原因として経肛門群には全身状態の悪い群が含まれている影響などが考えられた.2,経肛門群に縫合不全を1例生じており,切除長に関し十分考慮する必要があると考えられた.