講演情報
[SY2-9]BMI30以上の肥満患者に対するロボット直腸癌手術の短期成績
吉松 軍平, 赤崎 卓之, 竹下 一生, 塩川 桂一, 下河邉 久陽, 佐原 くるみ, 棟近 太郎, 松本 芳子, 長野 秀紀, 長谷川 傑 (福岡大学消化器外科)
【背景】直腸癌に対する手術アプローチはロボット手術が加わり,大きく変化してきている.ロボット手術ではその機能により精緻な手術が可能となるため直腸領域でのメリットは大きい.一方で,肥満患者に対する鏡視下手術では,手術操作が困難で高いスキルを要求される.今回,我々はBMI30以上の肥満患者に対するロボット手術の成績を解析し考察した.
【方法】直腸癌に対して切除が行われたBMI 30以上の症例について後方視的に解析を行った.重複癌,IBD,骨盤内蔵全摘の症例は除外した.
【結果】BMI 30以上はRobo群13例,Lap群 14例に認め,BMIの中央値はRobo群31.2,Lap群32.6であった.腫瘍の局在(RS/Ra/Rb)はRobo群,Lap群それぞれ3/2/8例,7/2/5例,深達度(cT1-2/cT3-4)は7/8例,4/10例,リンパ節転移(cN)は7例,4例に認めた.術前画像で側方リンパ節転移はRobo群1例,Lap群0例に認め,cStage(0-2/3/4)は5/7/1例,7/7/1例で,Robo群でCRT 2例,NAC1例,Lap群でCRT1例が行われた.Robo群でHAR/LAR/ISR or vLAR/APRが2/5/5/1例,Lap群で7/4/1/2例行われ,経肛門/会陰内視鏡併用アプローチが1例(7.7%),3例(21.4%)に行われた.側方郭清はRobo群の1例のみで行われていた.Diverting stomaは4例,2例に行われた.手術時間は439分,369分,出血量は8mL,6.5mLであった.術後在院日数は15.5日,13日と同等で,Clavien Dindo分類Grade3以上の合併症をそれぞれ1例ずつ認めた.pCRM陽性例は両群ともに認めなかった.
【考察】本検討ではRobo群で手術時間が長かったが,低い病変にも経肛門/会陰内視鏡的アプローチを併用せずに手術可能で,ほぼ同等の手術短期成績を示していた.ラパロ手術がすでに技術的に確立されている一方で,Robo群ではlearning curveを含んでいることを考えると,技術的に難しい肥満患者に対する短期成績としてロボット手術の有用性を示唆するものと考える.本検討では症例数が少ないため,予後を含めたさらなる症例集積が必要と考える.
【結語】今回,我々は肥満患者に対する手術治療成績を検討し,ロボット手術が腹腔鏡手術と遜色なく,かつ低い病変にも経腹的アプローチで手術が完遂できていることが明らかとなった.
【方法】直腸癌に対して切除が行われたBMI 30以上の症例について後方視的に解析を行った.重複癌,IBD,骨盤内蔵全摘の症例は除外した.
【結果】BMI 30以上はRobo群13例,Lap群 14例に認め,BMIの中央値はRobo群31.2,Lap群32.6であった.腫瘍の局在(RS/Ra/Rb)はRobo群,Lap群それぞれ3/2/8例,7/2/5例,深達度(cT1-2/cT3-4)は7/8例,4/10例,リンパ節転移(cN)は7例,4例に認めた.術前画像で側方リンパ節転移はRobo群1例,Lap群0例に認め,cStage(0-2/3/4)は5/7/1例,7/7/1例で,Robo群でCRT 2例,NAC1例,Lap群でCRT1例が行われた.Robo群でHAR/LAR/ISR or vLAR/APRが2/5/5/1例,Lap群で7/4/1/2例行われ,経肛門/会陰内視鏡併用アプローチが1例(7.7%),3例(21.4%)に行われた.側方郭清はRobo群の1例のみで行われていた.Diverting stomaは4例,2例に行われた.手術時間は439分,369分,出血量は8mL,6.5mLであった.術後在院日数は15.5日,13日と同等で,Clavien Dindo分類Grade3以上の合併症をそれぞれ1例ずつ認めた.pCRM陽性例は両群ともに認めなかった.
【考察】本検討ではRobo群で手術時間が長かったが,低い病変にも経肛門/会陰内視鏡的アプローチを併用せずに手術可能で,ほぼ同等の手術短期成績を示していた.ラパロ手術がすでに技術的に確立されている一方で,Robo群ではlearning curveを含んでいることを考えると,技術的に難しい肥満患者に対する短期成績としてロボット手術の有用性を示唆するものと考える.本検討では症例数が少ないため,予後を含めたさらなる症例集積が必要と考える.
【結語】今回,我々は肥満患者に対する手術治療成績を検討し,ロボット手術が腹腔鏡手術と遜色なく,かつ低い病変にも経腹的アプローチで手術が完遂できていることが明らかとなった.