講演情報
[P2-1-3]上行結腸憩室穿孔を合併した結核性腹膜炎の1例
浅古 謙太郎1, 端山 軍1, 池畑 泰行1, 宮田 敏弥1, 清水 友貴2, 土谷 麻衣子3, 浅田 裕介1, 福島 慶久1, 野澤 慶次郎1, 宇於崎 宏3, 山本 貴嗣2, 笹島 ゆう子3, 落合 大樹1 (1.帝京大学外科, 2.帝京大学消化器内科, 3.帝京大学病理診断科)
症例は70代女性.既往に自己免疫性溶血性貧血に対してステロイド投薬中,繰り返す原因不明の上行結腸炎が既往にある患者.下痢,血便を主訴に当院受診した.腹部所見は平坦軟で腹膜刺激兆候を認めなかった.直腸診察では鮮血を認めた.採血検査はRBC 287万/Hb 8.7g/dL Ht 25.2% WBC 16900/μL,CRP 6.3g/dL,CEA 5.2ng/ml,CA19-9 50.2 U/ml,sIL-2R 2996 U/mlと炎症反応,腫瘍マーカー共に上昇を認めた.腹部CTで上行結腸周囲の脂肪織濃度上昇を認めたが出血疑う所見は認めなかった.上行結腸憩室炎,憩室出血疑いと診断し入院となった.入院後,抗菌薬加療し経過を見ていたが,炎症反応改善なく第7病日に造影CTを施行したところ肺野に結節影,縦隔リンパ節腫大を新たに認め,悪性リンパ腫,肺結核が疑われた.胃液抗酸菌培養は3回陰性だったが,第13病日に施行した経気管支的縦隔リンパ節生検は,Mycobacterium tuberculosisを認めた.
第20病日に腹部再評価目的に撮影した造影CTでは上行結腸周囲の脂肪織濃度上昇は増悪しており,腸間膜膿瘍形成と腹腔内遊離ガス像を認めた.上行結腸憩室穿孔の診断で同日緊急手術を行った.術中所見は漿液性腹水を多量に認め,腹膜播種様の白色結節が腹腔内全体に見られた.腸管癒着を認めたが,容易に剥離可能だった.上行結腸を確認したところ上行結腸間膜に膿瘍腔を認め,穿孔部位を認めた.腹腔内洗浄ドレナージ,回腸に人工肛門を造設し手術終了とした.術後3日目から経口摂取開始した.術中採取した白色結節からMycobacterium tuberculosisが検出され,上行結腸憩室穿孔,結核性腹膜炎と診断した.
術後6日目から抗結核薬(INH,RFP,EB,PZA)を開始とした.術後10日目に結核治療のため内科に転科となった.現在結核の再発なく経過している.
結核性腹膜炎は肺からの血行性播種や腸結核,卵巣結核などからの血行性,リンパ行性播種などが挙げられる.結核性腹膜炎は全結核の0.04~0.5%と稀な疾患で,活動性肺結核の10−15%のみ発症する珍しい疾患である.若干の文献的考察をくわえて報告する.
第20病日に腹部再評価目的に撮影した造影CTでは上行結腸周囲の脂肪織濃度上昇は増悪しており,腸間膜膿瘍形成と腹腔内遊離ガス像を認めた.上行結腸憩室穿孔の診断で同日緊急手術を行った.術中所見は漿液性腹水を多量に認め,腹膜播種様の白色結節が腹腔内全体に見られた.腸管癒着を認めたが,容易に剥離可能だった.上行結腸を確認したところ上行結腸間膜に膿瘍腔を認め,穿孔部位を認めた.腹腔内洗浄ドレナージ,回腸に人工肛門を造設し手術終了とした.術後3日目から経口摂取開始した.術中採取した白色結節からMycobacterium tuberculosisが検出され,上行結腸憩室穿孔,結核性腹膜炎と診断した.
術後6日目から抗結核薬(INH,RFP,EB,PZA)を開始とした.術後10日目に結核治療のため内科に転科となった.現在結核の再発なく経過している.
結核性腹膜炎は肺からの血行性播種や腸結核,卵巣結核などからの血行性,リンパ行性播種などが挙げられる.結核性腹膜炎は全結核の0.04~0.5%と稀な疾患で,活動性肺結核の10−15%のみ発症する珍しい疾患である.若干の文献的考察をくわえて報告する.