講演情報
[P5-2-2]当科における横行結腸癌に対するアプローチ法
白石 謙介, 古屋 信二, 仲山 孝, 高橋 和徳, 丸山 傑, 中田 祐紀, 河口 賀彦, 雨宮 秀武, 川井田 博允, 市川 大輔 (山梨大学医学部外科学講座第1教室)
はじめに
横行結腸癌に対する手術には多彩な支配血管分布様式と解剖学的な膜構造の熟知が必要で ある.各施設で手術コンセプトに違いにより横行結腸癌のアプローチ法には様々な方法が存在する.安全な手技の遂行には手技の定型化が望まれる.当科では肝曲寄りの早期横行結腸癌では結腸右半切除術,進行横行結腸癌では拡大右半切除術,中央から脾曲側の横行結腸癌では横行結腸切除術を基本としている.そのどの手術コンセプトにおいても,横行結腸間膜を正確に同定し,中結腸動静脈にアプローチしリンパ節郭清と脈管処理を行っている.中結腸静脈(MCV)は頭側より,中結腸動脈(MCA)は尾側より処理することで郭清根部を過不足なく郭清するよう意識している.ロボット手術でも基本コンセプトは変えずに施行している.ロボット手術により血管周囲の精度は向上しているが,頭側,尾側を行き来する当科のアプローチでは腸管の大きな展開は助手のサポートで安全性を担保している.
当科での横行結腸癌に対するアプローチを供覧する.
①肝曲部脱転には,回結腸動静脈の背側からの内側アプローチにて,SMV前面から十二指腸前面,そして膵前面を剥離し,できる限り尾側から剥離していく.その後,小腸間膜根から右側結腸外側を剥離し,頭側アプローチに移る.
②脾曲部横行結腸癌に関しては,十二指腸空腸曲の外側から下腸間膜静脈の背側から入り,膵下縁で腹膜を切開し網嚢腔と連続させる.その後,下行結腸外側の付着部を脾曲まで切離,最後に横行結腸の頭側から網嚢腔に入り脾曲を授動する.
③中部横行結腸癌に関しては頭側,尾側アプローチを併用し,解剖の確認を行いながら郭清する.横行血腸間膜中央部の切離は膵頭部,膵尾部前面をメルクマールとして切離する.
④ MCA&MCVへのアプローチでは,尾側からMCAを処理,SMV前面からSurgical trunkを露出し,リンパ節を郭清する.膵下縁にガーゼを置くことで郭清のゴールを意識し最後にMCVの根部で切離している.
以上のように横行結腸間膜の解剖を意識し,郭清することで過不足なく,郭清できると考え,上記コンセプトのもと腹腔鏡手術,ロボット手術を施行している.
横行結腸癌に対する手術には多彩な支配血管分布様式と解剖学的な膜構造の熟知が必要で ある.各施設で手術コンセプトに違いにより横行結腸癌のアプローチ法には様々な方法が存在する.安全な手技の遂行には手技の定型化が望まれる.当科では肝曲寄りの早期横行結腸癌では結腸右半切除術,進行横行結腸癌では拡大右半切除術,中央から脾曲側の横行結腸癌では横行結腸切除術を基本としている.そのどの手術コンセプトにおいても,横行結腸間膜を正確に同定し,中結腸動静脈にアプローチしリンパ節郭清と脈管処理を行っている.中結腸静脈(MCV)は頭側より,中結腸動脈(MCA)は尾側より処理することで郭清根部を過不足なく郭清するよう意識している.ロボット手術でも基本コンセプトは変えずに施行している.ロボット手術により血管周囲の精度は向上しているが,頭側,尾側を行き来する当科のアプローチでは腸管の大きな展開は助手のサポートで安全性を担保している.
当科での横行結腸癌に対するアプローチを供覧する.
①肝曲部脱転には,回結腸動静脈の背側からの内側アプローチにて,SMV前面から十二指腸前面,そして膵前面を剥離し,できる限り尾側から剥離していく.その後,小腸間膜根から右側結腸外側を剥離し,頭側アプローチに移る.
②脾曲部横行結腸癌に関しては,十二指腸空腸曲の外側から下腸間膜静脈の背側から入り,膵下縁で腹膜を切開し網嚢腔と連続させる.その後,下行結腸外側の付着部を脾曲まで切離,最後に横行結腸の頭側から網嚢腔に入り脾曲を授動する.
③中部横行結腸癌に関しては頭側,尾側アプローチを併用し,解剖の確認を行いながら郭清する.横行血腸間膜中央部の切離は膵頭部,膵尾部前面をメルクマールとして切離する.
④ MCA&MCVへのアプローチでは,尾側からMCAを処理,SMV前面からSurgical trunkを露出し,リンパ節を郭清する.膵下縁にガーゼを置くことで郭清のゴールを意識し最後にMCVの根部で切離している.
以上のように横行結腸間膜の解剖を意識し,郭清することで過不足なく,郭清できると考え,上記コンセプトのもと腹腔鏡手術,ロボット手術を施行している.