講演情報
[P5-2-4]当院における腹腔鏡下結腸体腔内吻合の短期成績と手術手技の工夫
高城 伸平1,2, 松下 鈴佳1, 駒井 聡太1, 斎藤 萌1, 早川 智彬1, 大坪 琢磨1,2, 田中 雄也1, 相馬 泰平1, 尾﨑 貴洋1, 松下 恒久1,2, 角 泰廣1, 古畑 智久3 (1.独立行政法人国立病院機構静岡医療センター外科, 2.聖マリアンナ医科大学消化器・一般外科, 3.聖マリアンナ医科大学東横病院消化器病センター)
腹腔鏡下結腸切除術における消化管再建は従来,体腔外で行われることが一般的であった.その場合,腸管を体外へ誘導するために広範囲の腸間剥離や授動が要求される.高度肥満症例や腸管短縮,癒着症例では体外へ十分な腸管挙上が困難で,比較的大きな腹壁切開を必要とする.また,腸管切除・吻合の際に腸管牽引による出血も経験する.これらの問題を解決するために体腔内吻合が行われているが,その一方で,腹腔内への便汚染や腫瘍細胞が散布される可能があり,その有用性については明らかではない.今回,2022年8月から2024年4月にかけて当院で行った腹腔鏡下結腸切除術における体腔内吻合症例28例の治療成績を収集した.年齢の中央値は78歳(72-88歳)で,男女比は男性:女性=16:12.回盲部切除術が8例,結腸右半切除術が5例,結腸拡大右半切除術が2例,横行結腸部分切除術が1例,結腸左半切除術が10例,S状結腸切除術が1例,バイパス手術が1例.Overlap吻合が27例,機能的端々吻合が1例.手術時間の中央値は320分(157-688分),吻合時間の中央値は41分(18-75分).出血量の中央値は24g(2-260g).術後食事開始までの中央値は3日(2-14日),術後在院日数の中央値は10日(6-28日).術後合併症として縫合不全や吻合部狭窄は1例もなく,SSIは1例のみ(Clavien-Dindo分類gradeII)であった.結腸手術における体腔内吻合は安全に施行し得ると考えられた.吻合時間に関しては,症例を重ねるにつれ短縮し,直近の数例では20分前後で施行可能となっている.Overlap法における手術手技の工夫についても報告する.