講演情報
[R16-6]直腸脱・瘤・重積症に合併する他臓器脱への当院の治療戦略
岡本 亮, 松木 豪志, 古出 隆大, 一瀬 規子, 中島 隆善, 仲本 嘉彦, 柳 秀憲 (医療法人信和会明和病院)
【はじめに】直腸脱患者では他臓器脱の合併を一定頻度で認めtotal repairが望まれる.当院の診断・治療方針について報告する.
【診断・評価】直腸脱,特に手術症例では肛門科・婦人科・泌尿器科併診を基本とし他臓器脱の合併を検討.動的MRI画像を供覧,肛門内圧検査等により骨盤底筋を評価し術前からの骨盤底筋群体操を推奨する.対象者は超高齢者も多く,Frailtyなどを高齢者総合的機能評価 CGAで評価し術式選択の参考とする.
【手術治療】2018年1月-2024年4月の直腸脱手術105例の内,28例(26.6%)に他臓器脱合併を認めた.内訳は膀胱瘤15例子宮脱11例その他5例.年齢中央値76.5歳.75歳以上の95%でFrailtyが疑われ,ポリファーマシー(平均8剤)を認めた.膠原病等によるステロイド服用6例,糖尿病4例,認知症を3例に認め,直腸脱のみ症例に比し若年も,疾患リスクは同様に高いと判断し慎重な周術期管理に努めている.75歳以上では全例に入院時から嚥下も含めたリハビリを行い平均6日間の在院中のADL低下予防に努める.術式は25例でLSC(Laparoscopic sacrocolpopexy)+LVR(ventral rectopexy)を選択.手術は複数科合同を基本とし,尿管・膀胱など他臓器損傷の危険性が高くなる骨盤底術後症例では術中所見で経腹から経会陰アプローチへ等の術式変更・追加も行っている.合併症は高度認知症の1例で転倒骨折を認め手術加療が必要となった.観察期間中央値37.8ヶ月では,再発は直腸脱のみを経会陰手術で治療した1例で認め,LSC+LVRにて再手術を行い以後再発は認めていない.
【術後経過観察】術後バイオフィードバック療法外来にて骨盤底筋群体操を継続.3-6か月のパスで運用し,術後ルーチン化した2022年以降では再発は認めていない.骨盤底機能は骨盤底困窮度質問票(300点満点)で術前/術後1/3/6/12ヶ月を評価し,109.4/30.7/30.2/17.9/26.1と術後著明に改善.一方排尿に関するUDI-6の改善が乏しい又は増悪する事があり,他科と連携する必要が考えられた.
【まとめ】POPは多彩な症状をもち,個別の身体・精神状況に応じた対応が必要となる.コメディカルも含めた多様性のあるチームによる個別化治療戦略が安全性と根治性の担保の為にも望ましいと考える.
【診断・評価】直腸脱,特に手術症例では肛門科・婦人科・泌尿器科併診を基本とし他臓器脱の合併を検討.動的MRI画像を供覧,肛門内圧検査等により骨盤底筋を評価し術前からの骨盤底筋群体操を推奨する.対象者は超高齢者も多く,Frailtyなどを高齢者総合的機能評価 CGAで評価し術式選択の参考とする.
【手術治療】2018年1月-2024年4月の直腸脱手術105例の内,28例(26.6%)に他臓器脱合併を認めた.内訳は膀胱瘤15例子宮脱11例その他5例.年齢中央値76.5歳.75歳以上の95%でFrailtyが疑われ,ポリファーマシー(平均8剤)を認めた.膠原病等によるステロイド服用6例,糖尿病4例,認知症を3例に認め,直腸脱のみ症例に比し若年も,疾患リスクは同様に高いと判断し慎重な周術期管理に努めている.75歳以上では全例に入院時から嚥下も含めたリハビリを行い平均6日間の在院中のADL低下予防に努める.術式は25例でLSC(Laparoscopic sacrocolpopexy)+LVR(ventral rectopexy)を選択.手術は複数科合同を基本とし,尿管・膀胱など他臓器損傷の危険性が高くなる骨盤底術後症例では術中所見で経腹から経会陰アプローチへ等の術式変更・追加も行っている.合併症は高度認知症の1例で転倒骨折を認め手術加療が必要となった.観察期間中央値37.8ヶ月では,再発は直腸脱のみを経会陰手術で治療した1例で認め,LSC+LVRにて再手術を行い以後再発は認めていない.
【術後経過観察】術後バイオフィードバック療法外来にて骨盤底筋群体操を継続.3-6か月のパスで運用し,術後ルーチン化した2022年以降では再発は認めていない.骨盤底機能は骨盤底困窮度質問票(300点満点)で術前/術後1/3/6/12ヶ月を評価し,109.4/30.7/30.2/17.9/26.1と術後著明に改善.一方排尿に関するUDI-6の改善が乏しい又は増悪する事があり,他科と連携する必要が考えられた.
【まとめ】POPは多彩な症状をもち,個別の身体・精神状況に応じた対応が必要となる.コメディカルも含めた多様性のあるチームによる個別化治療戦略が安全性と根治性の担保の為にも望ましいと考える.