講演情報

[VWS3-4]当施設における直腸脱に対する腹腔鏡下直腸固定術の現状

鶴間 哲弘, 西舘 敏彦, 田山 慶子, 石村 陸, 平田 公一 (JR札幌病院外科)
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(目的)直腸脱に対する術式は多岐にわたる.一般的に,腹腔鏡下直腸固定術は経会陰的術式に比較し再発率が低いとされる.本発表では,当施設での腹腔鏡下直腸固定術の現状を検討し最適な直腸脱手術術式について考察する.(方法)2009年4月から2024年4月までに当施設にて施行された腹腔鏡下直腸固定術症例を検討対象とした.当施設での術式選択(直腸固定方法),術式の工夫,術後成績について検討する.(結果)検討期間に274例の直腸脱手術が施行され,そのうち191例(69.7%)に腹腔鏡下直腸固定術が選択された.腹腔鏡下直腸固定術を選択しなかった理由としては,低身長でworking space確保困難,脊椎変形が著しく砕石位が困難,発熱を繰り返し全身状態が不安定などの高齢者にありがちな理由であった.2021年3月までは直腸後方固定であるwells変法を97例に施行した.平均年齢76.1歳(33~93).平均手術時間159.9分(103~290).粘膜脱様再発も含む再発は8例(8.2%).2021年4月以降は,原則,70歳未満は直腸後方固定(今後の婦人科手術の可能性を考慮,Ventralight-STメッシュ使用),70歳以上は直腸前方固定(BARD mesh使用)を施行している.また,若年者にはメッシュを使用しない直腸縫合固定術を選択している.この期間での平均手術時間は,前方固定(79例)112.3分(72~227),後方固定(12例)123.2分(90~171),縫合固定(3例)145.7分(107~190).再発は前方固定で3例(3.8%),後方固定と縫合固定では再発はない.発表では,それぞれの手術ビデオも供覧する.(まとめ)直腸脱は,高齢者に多い疾患ではあるが,まれに若年者にも発生す.また,高齢化社会となり本手術後の他疾患による再手術の可能性も考慮が必要である.以上より,患者に応じた術式選択が必要と考える.