講演情報
[O3-4]クローン病に合併した複雑痔瘻の診断と治療
硲 彰一, 藤井 敏之, 北原 正博, 高畠 侑也 (周南記念病院消化器病センター外科)
【初めに】痔瘻を合併したクローン病患者はQOLが損なわれることが多い.新しく免疫調節薬が次々に保険承認され,腸病変が安定する患者が増えている.また痔瘻に対しては新たに再生医療による治療も加わり,肛門病変に対する治療方針も大きく変わってきている.我々はクローン病に合併する複雑痔瘻に対する治療として,抗サイトカイン抗体による全身治療をベースとし,局所療法としてSeton法を用いて二次口を集約化(一本化)した後に再生医療薬(ダルバドストロセル:アロフィセル)を併用して原発口の根治を目指す戦略により良好な結果を得ているので報告する.
【方法と結果】1 診断:瘻孔の診断は,造影CTと単純MRIを用いて行っているが,仙骨硬膜外麻酔を用いてドレナージ手術を行う際に,二次口の開口部からオキシドールを注入することにより,瘻孔内の圧を上げ,微少な二次口や原発口から泡の噴出を確認することで活動性の瘻孔を検出する方法を用いている.
2 痔瘻合併クローン病の治療・手術:クローン病に合併する痔瘻は,通常の肛門腺の感染に加えて,Ulcerated Pileと呼ばれる肛門管・直腸のクローン病変が原発口となることも多く,抗サイトカイン抗体による全身治療をベースとしている.これにより肛門病変の改善並びに腸管病変を初めとする全身のクローン病変の沈静化を図る.これと平行して複雑痔瘻の単純化を行うため,二次口間に複数のSetonドレナージを置く.Setonには6ミリのペンローズドレーンを使用している.症例により期間に幅はあるが,1箇所の原発口に対して二次口を一つに集約化することが可能である.原発口と近接する二次口のあいだには細めのゴムドレーンを留置しておく.このような前処置により瘻孔や膿瘍が沈静化させ,瘻孔の搔爬と原発口の縫合閉鎖を行った後,アロフィセルを原発口と瘻管周囲に注入する.これにより局所の炎症反応は沈静化され,術後から瘻孔の閉鎖が促進される.
【結語】全身的な抗サイトカイン抗体療法,局所のSeton法を用いた瘻孔の一本化,アロフィセルを用いた原発口と瘻管の治療により良好な結果を得ている.手術手技のビデオや文献的報告を含めて,我々の診療を紹介する.
【方法と結果】1 診断:瘻孔の診断は,造影CTと単純MRIを用いて行っているが,仙骨硬膜外麻酔を用いてドレナージ手術を行う際に,二次口の開口部からオキシドールを注入することにより,瘻孔内の圧を上げ,微少な二次口や原発口から泡の噴出を確認することで活動性の瘻孔を検出する方法を用いている.
2 痔瘻合併クローン病の治療・手術:クローン病に合併する痔瘻は,通常の肛門腺の感染に加えて,Ulcerated Pileと呼ばれる肛門管・直腸のクローン病変が原発口となることも多く,抗サイトカイン抗体による全身治療をベースとしている.これにより肛門病変の改善並びに腸管病変を初めとする全身のクローン病変の沈静化を図る.これと平行して複雑痔瘻の単純化を行うため,二次口間に複数のSetonドレナージを置く.Setonには6ミリのペンローズドレーンを使用している.症例により期間に幅はあるが,1箇所の原発口に対して二次口を一つに集約化することが可能である.原発口と近接する二次口のあいだには細めのゴムドレーンを留置しておく.このような前処置により瘻孔や膿瘍が沈静化させ,瘻孔の搔爬と原発口の縫合閉鎖を行った後,アロフィセルを原発口と瘻管周囲に注入する.これにより局所の炎症反応は沈静化され,術後から瘻孔の閉鎖が促進される.
【結語】全身的な抗サイトカイン抗体療法,局所のSeton法を用いた瘻孔の一本化,アロフィセルを用いた原発口と瘻管の治療により良好な結果を得ている.手術手技のビデオや文献的報告を含めて,我々の診療を紹介する.