講演情報
[SR5-6]横行結腸癌に対する手術の定型化の取り組みと成績
中原 健太, 石田 文生, 中川 美星子, 関 純一, 高野 洋次郎, 竹原 雄介, 向井 俊平, 榎並 延太, 小沢 慶彰, 澤田 成彦, 工藤 進英 (昭和大学横浜市北部病院消化器センター)
【緒言】中結腸動脈根部のリンパ節郭清を要する横行結腸進行癌に対する腹腔鏡下手術は難易度の高い手術とされている.また特に左側横行結腸では空腸起始部付近を剥離することに起因した腸閉塞やリンパ漏,膵液漏等により,術後在院日数が遷延する症例を時に経験する.教室において定型化した内側アプローチによる中結腸動脈領域の郭清を行った横行結腸癌の手術ビデオを供覧し,合併症低減に向けた取り組みを提示する.
【手術手技】5ポートで内側アプローチによる結腸間膜剥離とリンパ節郭清を行っている.郭清領域の背側面を規定することが重要と考えており,進行癌においては右側横行結腸では主にSMVからSMA前面,左側横行結腸ではSMA前面からトライツ靭帯前面を郭清の背側面としている.郭清の右縁,左縁はいずれも神経やリンパ管を含んだPlexusとなるため,これらは腫瘍の進行度に応じて適切な位置で切離する.結腸間膜背側の明確な剥離層を剥離して結腸間膜と大網の間を剥離し,十分剥離した後に頭側から大網を任意の位置で切開して結腸を授動する.
【手術成績】過去5年間に中結腸動脈領域の郭清を行った横行結腸進行癌134例を対象として手術成績を評価した.男/女:16/18,年齢67.9歳,手術時間210分,出血量41ml,手術合併症(Grade3以上):5例(吻合部出血1,膵液漏1,腸閉塞3),術後在院日数9.0日であった.
【まとめ】腫瘍局在に応じた郭清領域を明確に規定することで手技を定型化することが可能と考えられるが,特に左側横行結腸においては特徴的な合併症と考えられる結腸間膜欠損部への空腸の陥入による再手術を経験しており,これに対する措置が必要な症例が存在すると考えられる.現在,吻合後に吻合部背側に上部空腸が陥入する症例に対して空腸起始部付近の腹膜と下行結腸間膜を数針縫合し空腸の嵌入を予防している.
【手術手技】5ポートで内側アプローチによる結腸間膜剥離とリンパ節郭清を行っている.郭清領域の背側面を規定することが重要と考えており,進行癌においては右側横行結腸では主にSMVからSMA前面,左側横行結腸ではSMA前面からトライツ靭帯前面を郭清の背側面としている.郭清の右縁,左縁はいずれも神経やリンパ管を含んだPlexusとなるため,これらは腫瘍の進行度に応じて適切な位置で切離する.結腸間膜背側の明確な剥離層を剥離して結腸間膜と大網の間を剥離し,十分剥離した後に頭側から大網を任意の位置で切開して結腸を授動する.
【手術成績】過去5年間に中結腸動脈領域の郭清を行った横行結腸進行癌134例を対象として手術成績を評価した.男/女:16/18,年齢67.9歳,手術時間210分,出血量41ml,手術合併症(Grade3以上):5例(吻合部出血1,膵液漏1,腸閉塞3),術後在院日数9.0日であった.
【まとめ】腫瘍局在に応じた郭清領域を明確に規定することで手技を定型化することが可能と考えられるが,特に左側横行結腸においては特徴的な合併症と考えられる結腸間膜欠損部への空腸の陥入による再手術を経験しており,これに対する措置が必要な症例が存在すると考えられる.現在,吻合後に吻合部背側に上部空腸が陥入する症例に対して空腸起始部付近の腹膜と下行結腸間膜を数針縫合し空腸の嵌入を予防している.