講演情報
[P5-1-3]穿孔性虫垂炎を伴うAmyand's herniaの1例
田村 卓也, 鶴田 雅士, 石田 隆, 竹谷 健, 皆川 卓也, 島田 理子, 平野 佑樹, 大山 隆史, 篠田 昌宏, 板野 理 (国際医療福祉大学成田病院消化器外科)
症例は88歳,女性.前医にて廃用症候群でリハビリ入院中に,右鼠径部の膨隆及び圧痛を認め,右鼠径ヘルニア嵌頓の疑いで紹介受診となった.当院での造影CTで右鼠径部及びヘルニア門周囲の腹腔内に膿瘍形成,高度炎症を伴っており同定困難であったが虫垂もしくは回腸末端の嵌頓疑いを認めた.右鼠径ヘルニア嵌頓,嵌頓した虫垂もしくは小腸の穿孔及び膿瘍形成の診断で緊急手術の方針とした.まず前方アプローチにて鼠径管を開放し,穿孔した虫垂から続く被膜に包まれた膿瘍を認め,膿瘍のみ摘出した.CTにて腹腔内膿瘍も認めていたため,下腹部正中切開で開腹した.虫垂根部から盲腸にかけて高度炎症が及んでいたため回盲部切除術,骨盤内の膿瘍形成に対して洗浄ドレナージを施行した.その後にMcVay法で修復した.術後経過は良好で,術後14日目に転院となった.ヘルニア嚢内に虫垂が逸脱するAmyand's herniaの報告は散見されるが,本症例のようにヘルニア嚢内で虫垂炎及び穿孔に伴う膿瘍形成,腹腔内膿瘍を起こす例はまれであるため,若干の文献考察を含め報告する.