講演情報

[P12-2-7]骨盤内再発腫瘍に対する陽子線治療2例の経験

美並 輝也, 金本 斐子, 島田 麻里, 道傳 研司 (福井県立病院)
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【緒言】直腸癌を含めた悪性腫瘍の骨盤内再発は外科的切除が第一選択であるが,小病変であっても隣接臓器への浸潤で拡大切除を要することが多く,術後機能障害といったQOL低下を招く.また切除不能な病変は(放射線)化学療法を行うも,腫瘍出血や疼痛,抗癌剤による副作用のため治療に難渋することが多い.このような再発巣の局所制御は上記の諸症状を緩和し,集学的治療の際に重要な問題である.今回我々は,骨盤内再発に対して陽子線治療を行い,良好な局所制御可能であった2例を経験したので文献的考察を加えて報告する.【症例】症例1:46歳,女性.貧血を契機に診断・手術を他院で行われた子宮原発の平滑筋肉腫pT2NxM0,pStageIIBで,初回術後1年5ヵ月で大動脈リンパ節転移,2年4ヵ月で肺転移巣を認め,各々の病巣に対して手術でR0切除施行.初回術後2年8ヵ月で骨盤内の局所再発(2ヵ所)を認め,再発巣の一部は左尿管や内腸骨動静脈を巻き込んでいた.同部に対して減量手術および陽子線照射方針となり,当院紹介となった.再発巣1ヵ所は切除し,切除不能部はスペーサー留置を行い,陽性線治療70Gly/28frを行った.初回術後3年8ヵ月,陽性線治療後1年経過するも同部の局所制御の経過良好であった.症例2:78歳,女性.直腸癌Rab pT3N0M0 pStageIIaに対してlap-LAR術後.初回術後1年5ヵ月吻合部尾側の腸管外で局所再発を認め,膣・残存直腸へ浸潤していた.切除による術後QOL低下から同部に対して陽子線治療40Gly/26fr(S1併用)を行った.初回術後2年7ヵ月,陽子線治療後10ヵ月経過するも局所制御の経過良好であった.【結語】悪性腫瘍の骨盤内再発に対する治療は外科的切除が第一選択であるが,切除による臓器機能障害やQOL低下が予想される部位に対する陽子線照射はQOLを損なわず良い治療選択肢の一つと考えられた.