講演情報

[P4-1-4]術前3D-CT血管構築が有用であった回腸間膜発生Castleman病の1例

門屋 健吾1,2, 佐藤 雄1, 北原 知晃2, 若松 高太郎1, 大城 崇司1, 土屋 勝1 (1.東邦大学医療センター佐倉病院, 2.小山記念病院)
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Castleman病は1954年にCastlemanらがリンパ濾胞の過形成と血管増生を特徴とした良性の縦隔リンパ節腫大病変を報告したのが最初である.今回,無症候性に偶発的に発見された腹腔内腫瘤で,術前診断にて回結腸動脈空腸静脈奇形として腹腔鏡下に摘出し,術後にhyaline-vascular typeのCastleman病と診断された1例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.
症例は46歳男性.排尿時痛と会陰痛を主訴に前医を受診した際に精査目的で施行したCTにて腹腔内腫瘤を指摘され当院へ紹介となった.造影CT上動脈相で強い造影効果を伴う34mm大の内部均一な腫瘤を認めた.3D-CT血管構築では,回結腸動脈からの分枝と上腸間膜静脈へ流出する血管を認め,動静脈瘻を疑った.手術は腹腔鏡下に行い,腹腔内を観察すると,腫瘤は軽度発赤を伴った十二指腸下縁近傍の空腸間膜内に存在し,術前に疑った動静脈瘻の血管壁ではなく充実性の腫瘤であった.術前の血管構築画像を利用しながら血管を確実に処理することによって間膜切離し,腸管切除せずに腫瘍を摘出しえた.手術
翌日より経口摂取を再開し,術後第5病日で合併症なく退院した.肉眼上,腫瘤は6cm大で淡褐色,割面で充実性の領域が認められた.病理組織学的には発達したリンパ組織であり,血管が豊富であるが毛細血管および小静脈が主体で動静脈瘻の所見は認めなかった.濾胞様構造が散在し,壁の硝子化した血管が介在しており,hyaline-vascular typeのCastleman病と診断した.術後18か月無再発経過を確認した.