講演情報

[P15-1-5]緊急手術で救命しえた,閉塞性大腸炎を来したS状結腸嵌頓鼠径ヘルニアの一例

竹原 裕子, 大谷 剛, 武田 正, 工藤 泰崇, 赤在 義浩 (岡山済生会総合病院)
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症例は76歳男性,感染性脊髄炎の後遺症で下半身まひを認めていた.嘔吐・腹痛およびショックバイタルにて当院に救急搬送された.来院時に右鼠径部に膨隆を認め,CTで右鼠径ヘルニアへのS状結腸嵌頓と診断,緊急手術を施行した.
術中所見では広範な結腸壊死を認めており,ICGを用いて,まだらに血流ののこる横行結腸中部まで結腸切除を行い,横行結腸ストマ造設を行うこととした.
術後経過は良好で,リハビリ目的に近医転院となった.
入院中の経過より,脊髄炎の影響でTh10以下の感覚神経障害を認めていることが判明した.そのため,ヘルニア陥頓後も腹痛の自覚がなく,時間が経過したため,閉塞性大腸炎を来したものと考えられた.
右鼠径ヘルニアにS状結腸が嵌頓し,閉塞性大腸炎を来した症例は稀であるが,bacterial translocationなどを合併することで,予後が不良な症例報告もある.
今回,緊急手術にて救命しえた,S状結腸の鼠径ヘルニア陥頓に閉塞性大腸炎を来した1例を経験したため,報告する.