講演情報

[O2-6]腹腔鏡下大腸全摘術,回腸嚢肛門管吻合における手術手技のコツとピットフォール

小島 大望, 東 大二郎, 和田 英雄, 高橋 宏幸, 花岡 勝蔵, 渡部 雅人 (福岡大学筑紫病院外科)
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当科の腹腔鏡下大腸全摘術,回腸嚢肛門管吻合(IACA)の手術手技のポイントとピットフォールをビデオでしめす.直腸癌に対する腹腔鏡下手術の経験から下部直腸から肛門管周囲の剥離操作における腹腔鏡下手術はとても有用である.くわえて,ロボット支援下手術はさらに安定した視野のもと肛門管周囲の手術操作を行うことができ,性機能,排尿機能そして肛門,回腸嚢機能にも有用であると期待している.大腸全摘術は直腸超低位前方切除術,左半結腸切除術,右半結腸切除術から構成される.われわれの腹腔鏡下大腸全摘術の利点は同じトロッカー配置で施行可能である.ロボット手術の導入を見越した手術手順をしめす.まずは頭低位右下位で直腸超低位前方切除,左側結腸の授動,右側結腸の授動を行い,つづいて頭高位左下位とし網嚢の開放,回結腸動脈を確実に温存して右側結腸間膜および横行結腸間膜の処理を行い,全大腸の授動を完成させる.下部直腸および肛門管周囲の手術操作は鏡視下手術のもっとも恩恵が大きいところであるが,術者の力量による差が大きいところでもある.回盲部の間膜処理は小開腹創より直視下に行い,回結腸動脈の確実な温存に努めているが,今後は腔内処理も検討している.大腸切離により腸間膜根部は容易に捻転するうえ,摘出標本が長いため,注意を要する工程である.現在は左下位のまま,温存した回結腸動脈と回盲部より標本を創外に誘導している.J型回腸嚢の作成は60mmリニアステープラーを回腸嚢先端より挿入し,3回のファイアリングで15cmの回腸嚢を作成する.この際に確実なステイプリングと再建時に腸間膜が仙骨のカーブに沿って座するように漿膜筋層縫合を行う.再建時は腸間膜があたかも直腸間膜のように仙骨にそって座し,腸間膜の切離線が一直線になるようにしている.以上,術後の画像診断を含めて,ビデオでしめす.