講演情報
[PD4-7]閉塞性大腸癌に対する大腸ステント挿入の病理組織学的因子に及ぼす影響―多施設共同後ろ向き試験におけるステントを用いたBridge to Surgery症例の検討―
平塚 孝宏1, 赤木 智徳2, 白下 英史2, 白水 章夫3, 河野 陽子2, 河野 洋平2, 二宮 繁生2, 柴田 智隆2, 上田 貴威1, 隅田 頼信4, 齊藤 修治5, 衛藤 剛6, 猪股 雅史2 (1.大分大学医学部総合外科・地域連携学講座, 2.大分大学医学部消化器・小児外科学講座, 3.有田胃腸病院外科, 4.北九州市立医療センター消化器内科, 5.横浜新緑総合病院消化器病センター, 6.大分大学グローカル感染症研究センター)
【背景】閉塞性大腸癌に対するBridge to Surgeryを目的とした大腸ステント挿入は,近年のシステマティックレビューにおいてリンパ血管侵襲などの予後因子を増加させると報告されている.一方でカバード大腸ステントはその組織損傷を減弱させ,病理組織学的な予後因子の軽減が期待される.
【目的】閉塞性大腸癌(OCC)の治療における大腸ステントの病理組織学的因子に及ぼす影響を多施設共同後ろ向き研究にて評価する.
【対象と方法】4施設にて2020年9月から2022年12月までにOCC患者に対してBridge to Surgeryを行った45例を対象とした.川澄ジャバラ大腸ステント挿入群をC群,SEMS挿入群をNC群とし,患者背景,ステント挿入関連成績,手術短期成績,腫瘍組織の肉眼的挫滅,病理組織学的評価(pTNM分類,pStage,組織型,Ly,V,Pn,BD,組織学的裂創)を比較検討した.
【結果】
C群(11例)はNC群(34例)と比較し,性別,年齢,腫瘍局在,組織型,CROSS分類,cStageに差はなく,ステント留置期間がC群で短かった.ステント挿入関連成績は,C群 vs. NC群で,技術的成功率,臨床的成功率に差は認めなかった.ステント逸脱はC群1例(9%),NC群で2例(6%)に認めた.リンパ管侵襲は2群で差を認めなかったものの,静脈侵襲V1b~V2は18.2% vs 58.8%とC群で有意に少なかった(p=0.019).その他の病理組織学的検査項目に差はなかった.摘出標本の肉眼的挫滅スコアは1.7 vs. 5.6,筋層以深の病理組織学的裂創割合が40.0% vs.84.8%といずれもC群で少なかった(p<0.05).
【結語】
OCCに対する既存のSEMSを用いたBTSは,カバードステントと比較してリンパ管侵襲に差はないものの,静脈侵襲は高度であった.リンパ節郭清において,既存のSEMSを用いた症例では静脈侵襲が高くなる可能性に留意が必要である.カバードステントはその組織損傷を減弱させ,リンパ管侵襲を含めた病理組織学的因子悪化の軽減が期待される.
【目的】閉塞性大腸癌(OCC)の治療における大腸ステントの病理組織学的因子に及ぼす影響を多施設共同後ろ向き研究にて評価する.
【対象と方法】4施設にて2020年9月から2022年12月までにOCC患者に対してBridge to Surgeryを行った45例を対象とした.川澄ジャバラ大腸ステント挿入群をC群,SEMS挿入群をNC群とし,患者背景,ステント挿入関連成績,手術短期成績,腫瘍組織の肉眼的挫滅,病理組織学的評価(pTNM分類,pStage,組織型,Ly,V,Pn,BD,組織学的裂創)を比較検討した.
【結果】
C群(11例)はNC群(34例)と比較し,性別,年齢,腫瘍局在,組織型,CROSS分類,cStageに差はなく,ステント留置期間がC群で短かった.ステント挿入関連成績は,C群 vs. NC群で,技術的成功率,臨床的成功率に差は認めなかった.ステント逸脱はC群1例(9%),NC群で2例(6%)に認めた.リンパ管侵襲は2群で差を認めなかったものの,静脈侵襲V1b~V2は18.2% vs 58.8%とC群で有意に少なかった(p=0.019).その他の病理組織学的検査項目に差はなかった.摘出標本の肉眼的挫滅スコアは1.7 vs. 5.6,筋層以深の病理組織学的裂創割合が40.0% vs.84.8%といずれもC群で少なかった(p<0.05).
【結語】
OCCに対する既存のSEMSを用いたBTSは,カバードステントと比較してリンパ管侵襲に差はないものの,静脈侵襲は高度であった.リンパ節郭清において,既存のSEMSを用いた症例では静脈侵襲が高くなる可能性に留意が必要である.カバードステントはその組織損傷を減弱させ,リンパ管侵襲を含めた病理組織学的因子悪化の軽減が期待される.