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[VWS2-1(基調講演)]結腸癌に対するロボット支援手術の現状と課題

山口 智弘, 甲津 卓実, 野口 竜剛, 坂本 貴志, 松井 信平, 向井 俊貴, 秋吉 高志, 福長 洋介 (がん研究会有明病院消化器センター大腸外科)
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【はじめに】最近の右側結腸切除術に対するメタアナリシスでは,ロボット手術は腹腔鏡手術と比べて,手術時間は長く費用は高いが,在院日数・開腹移行・初回排ガス・合併症・郭清リンパ節個数において優れていると報告されている(Tech Coloproctol. 2023;27(7):521-535).結腸右半切除術に対してヨーロッパで行われた多施設前向き観察研究では,イレウスと嘔気・嘔吐の合併症がロボット手術の方が腹腔鏡手術と比べて少ないと報告された(MIRCAST Study, Br J Surg. 2023;110(9):1153-1160).海外からの報告は多く見られるが,本邦においては,2022年4月,結腸悪性腫瘍に対してロボット支援手術が保険適用となったばかりのため,報告が少ないのが現状である.また,結腸癌に対する手術は術式が多様で,ポート配置・アプローチ法・吻合方法においても施設間で異なるのが現状である.そこで,当院の治療成績を報告するとともに,手技の工夫を供覧する.【対象】2022年4月から2024年5月に結腸癌に対してロボット支援手術を施行した70例(Stage IV,重複癌を除く).【結果】術式は回盲部切除/結腸右半切除/結腸左半切除/S状結腸切除:11/33/8/18例.手術時間中央値220分,出血量中央値6g.術中合併症,開腹移行は認めなかった.Clavien-Dindo分類Grade II以上の術後合併症は4例(5.7%),術後在院日数中央値は10日,R0切除率100%であった.【まとめ】結腸癌に対するロボット手術の文献的考察を行い,当院の手技に関する工夫を供覧する.