講演情報
[SP2-1]働き方改革の現状と課題
小山 信彌 (日本私立医科大学協会)

初めに:医師の労働時間調査にて(2019年調査),過労死ラインとされる時間外労働が年960時間(月80時間)を超える医師が40%おり,さらに1960時間(月160時間)を超える医師が10%いることが判明した.一般労働者は2019年より時間外労働規制が始まったが,医師は5年間の猶予が与えられ,2019年,医師の働き方改革委員会にて議論が始まった.まず2024年までに,医師の労働時間管理を行い,1860時間を超える医師をなくして,労働時間短縮のための議論を院内で検討することになった.2年間の議論を経て,A水準:時間外労働時間960時間まで,B水準:地域の救急医療体制を維持する目的で,特例として1860時間となった.同様に他の医療機関に人を派遣している病院には,連携B水準とし,これらの時間には副業,兼業(いわゆるバイト)も労働時間に含まれることとなった.
B,連携Bには,医師の健康確保のために,連続勤務時間28時間,勤務インターバル9時間,代償休息が義務化された.さらに研修と修練目的にC1,C2が設定され,時間外労働時間は1860時間迄認められることになった.この時,最初に問題となったのは,特に大学病院では出退勤管理がなされておらず,さらに一部の大学では裁量労働制を採用していたため,混乱が生じた.また,自己研鑽の考え方,宿日直許可についても,その取扱いについて苦慮した.さらに問題となったのは,若手医師にとっては「960時間も働かされるのか」であり,指導医レベルでは960時間では診療ができないという分断である.約2年をかけて,これらの問題にどのように病院は対応し工夫してきたかについて,本シンポジウムでは現状と課題について述べてもらう予定である.
勤務環境評価センターの設立:
B,連携B,C1,C2ともに,医師の健康確保目的に連続勤務時間,勤務時間インターバル,代償休息の義務化に伴い,医師の働く環境を整備するため,日本医師会の中に医療機関勤務環境評価センターが設立された.960時間を超える医師のいる医療機関は,2024年4月までに受審して,第三者評価を得たのちに,各都道府県の指定を受ける必要がある.評価項目数は,必須項目18,必須以外58項目,計76項目について評価を受ける必要があり,3年ごとに更新が義務付けられている.現在469件の申請があり,449病院に認定許可をだしている.現在も少数であるが申請書が提出され,審査を行っている.
大学病院でのアンケート結果:
今回の医師の働き方改革で,最も大きな問題を抱えているのは大学病院であるといっても過言ではないと考えている.そのため全国医学部長病院長会議,私立医科大学協会にでは何回かアンケート調査を行っている.現時点でのアンケート結果を示す.
昨年の7月の時点では,労働時間の管理はほぼすべての大学においてなされており,兼業副業先の労働時間管理でも約80%の病院で把握されていた.兼業先の宿日直許可の把握については,77.5%の病院で把握しており,宿日直許可を取得できていない兼業先の派遣については,特に変更しないが47.5%,派遣することを検討するが26.3%,自院での勤務体制を見直すと回答した病院が15%あった.また,勤務評価センターの受審状況は82大学中79大学で申請済みであった.今後さらに施行後の状態についてもアンケート調査する予定である.
今回の主な論点
1.長時間労働と過重労働は軽減されてきているのか
2.人手不足と勤務条件の悪化にはどのように対応しているか
3.評価制度(給与)の問題と,病院経営
4.今回の改定は医師の労働環境改善に及ぼす影響
これらについて議論をしたいと考えます.
B,連携Bには,医師の健康確保のために,連続勤務時間28時間,勤務インターバル9時間,代償休息が義務化された.さらに研修と修練目的にC1,C2が設定され,時間外労働時間は1860時間迄認められることになった.この時,最初に問題となったのは,特に大学病院では出退勤管理がなされておらず,さらに一部の大学では裁量労働制を採用していたため,混乱が生じた.また,自己研鑽の考え方,宿日直許可についても,その取扱いについて苦慮した.さらに問題となったのは,若手医師にとっては「960時間も働かされるのか」であり,指導医レベルでは960時間では診療ができないという分断である.約2年をかけて,これらの問題にどのように病院は対応し工夫してきたかについて,本シンポジウムでは現状と課題について述べてもらう予定である.
勤務環境評価センターの設立:
B,連携B,C1,C2ともに,医師の健康確保目的に連続勤務時間,勤務時間インターバル,代償休息の義務化に伴い,医師の働く環境を整備するため,日本医師会の中に医療機関勤務環境評価センターが設立された.960時間を超える医師のいる医療機関は,2024年4月までに受審して,第三者評価を得たのちに,各都道府県の指定を受ける必要がある.評価項目数は,必須項目18,必須以外58項目,計76項目について評価を受ける必要があり,3年ごとに更新が義務付けられている.現在469件の申請があり,449病院に認定許可をだしている.現在も少数であるが申請書が提出され,審査を行っている.
大学病院でのアンケート結果:
今回の医師の働き方改革で,最も大きな問題を抱えているのは大学病院であるといっても過言ではないと考えている.そのため全国医学部長病院長会議,私立医科大学協会にでは何回かアンケート調査を行っている.現時点でのアンケート結果を示す.
昨年の7月の時点では,労働時間の管理はほぼすべての大学においてなされており,兼業副業先の労働時間管理でも約80%の病院で把握されていた.兼業先の宿日直許可の把握については,77.5%の病院で把握しており,宿日直許可を取得できていない兼業先の派遣については,特に変更しないが47.5%,派遣することを検討するが26.3%,自院での勤務体制を見直すと回答した病院が15%あった.また,勤務評価センターの受審状況は82大学中79大学で申請済みであった.今後さらに施行後の状態についてもアンケート調査する予定である.
今回の主な論点
1.長時間労働と過重労働は軽減されてきているのか
2.人手不足と勤務条件の悪化にはどのように対応しているか
3.評価制度(給与)の問題と,病院経営
4.今回の改定は医師の労働環境改善に及ぼす影響
これらについて議論をしたいと考えます.