講演情報
[EL3]周術期感染対策Up to Date
大毛 宏喜 (広島大学病院感染症科)
【背景】
高齢化の進行と働く世代の人口減少,高額医薬品・医療材料・医療機器の導入等により,医療を取り巻く環境が急速に変化しつつある.しかもその向こうに見えるのは,人口減による急性期医療の過剰時代である.現在急性期を担う医療機関は,当面は手術件数も多いが,その後高齢者の減少により急激に件数が減少する.地域医療構想による急性期医療機関の集約化が求められる所以である.
医療関連感染はデバイスや手術に起因する感染症であり,治療成績や医療の質を左右するだけでなく病院経営にも影響を及ぼす.中でも手術部位感染症(SSI)対策は術前・術中・術後に多職種連携が必要で,取り組みの差が出やすい.しかし高齢化の進行に伴い,SSIリスクの高い症例が増加している.加えて薬剤耐性菌問題,抗菌薬の供給難,働き方改革という名の勤務時間制限等,様々な逆風が吹いている.
【エビデンスの必要性】
SSI対策は多職種連携によるバンドルで構成されている.例えば下部消化管外科領域での予防抗菌薬に関する論点は,術前経口抗菌薬の有無,薬剤選択,投与のタイミング,術中再投与,術後投与期間,βラクタム系アレルギーの際の代替薬,体重による投与量の調整,などである.薬剤選択については近年膵頭十二指腸切除術や食道手術において,予防抗菌薬に広域薬を選択することでSSI発症率の低下が報告されるなど,従来と違った視点の手法が論じられている.下部消化管外科領域でも従来当たり前であった内容が本当に正しいのか,再考する時期に来ている.
日本外科感染症学会では,「消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン」を2018年に発刊した.設定したclinical questionについてメタ解析を行い,推奨を導き出したが,比較的多くの項目でエビデンスが不足していることも明らかになった.そこで今回の同ガイドライン改定では,clinical questionの再設定と解析を行っている.そこから得られた最新のエビデンスと,未だ明らかになっておらず,引き続き検討を要するポイントを概説する.
高齢化の進行と働く世代の人口減少,高額医薬品・医療材料・医療機器の導入等により,医療を取り巻く環境が急速に変化しつつある.しかもその向こうに見えるのは,人口減による急性期医療の過剰時代である.現在急性期を担う医療機関は,当面は手術件数も多いが,その後高齢者の減少により急激に件数が減少する.地域医療構想による急性期医療機関の集約化が求められる所以である.
医療関連感染はデバイスや手術に起因する感染症であり,治療成績や医療の質を左右するだけでなく病院経営にも影響を及ぼす.中でも手術部位感染症(SSI)対策は術前・術中・術後に多職種連携が必要で,取り組みの差が出やすい.しかし高齢化の進行に伴い,SSIリスクの高い症例が増加している.加えて薬剤耐性菌問題,抗菌薬の供給難,働き方改革という名の勤務時間制限等,様々な逆風が吹いている.
【エビデンスの必要性】
SSI対策は多職種連携によるバンドルで構成されている.例えば下部消化管外科領域での予防抗菌薬に関する論点は,術前経口抗菌薬の有無,薬剤選択,投与のタイミング,術中再投与,術後投与期間,βラクタム系アレルギーの際の代替薬,体重による投与量の調整,などである.薬剤選択については近年膵頭十二指腸切除術や食道手術において,予防抗菌薬に広域薬を選択することでSSI発症率の低下が報告されるなど,従来と違った視点の手法が論じられている.下部消化管外科領域でも従来当たり前であった内容が本当に正しいのか,再考する時期に来ている.
日本外科感染症学会では,「消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン」を2018年に発刊した.設定したclinical questionについてメタ解析を行い,推奨を導き出したが,比較的多くの項目でエビデンスが不足していることも明らかになった.そこで今回の同ガイドライン改定では,clinical questionの再設定と解析を行っている.そこから得られた最新のエビデンスと,未だ明らかになっておらず,引き続き検討を要するポイントを概説する.