講演情報
[SP1-5]経験から得た課題に向き合い真に必要とされるキャリアアップ支援を実践する
小澤 真由美, 藤原 淑恵, 田中 宗伸, 大矢 浩貴, 福岡 宏倫, 中川 和也, 遠藤 格 (横浜市立大学消化器・腫瘍外科学)
【背景】近年の傾向として外科医の数は減少傾向にある一方で卒業医師に占める女性の割合は増加傾向にある.外科医,特に消化器外科を志す女性医師の割合は若い世代で増えているものの,30代,40代になるにつれ減少傾向となる.一因にライフイベントが挙げられるが,これらを経験しても外科を継続できる環境・取り組みが喫緊の課題と認識される.一方で個々の人生を考えると,ライフコースによって目標が変わることは自然なことであるとも考えられる.
自身の経験を通して強く願っていることは,ライフイベントを経験しても「前向きに進路を選択して欲しい」ということである.具体的にはライフイベントを経験しつつも外科医を継続したい医師がいるのであればその助けになるような支援を行いたい,後ろ向きの選択として外科を離れてほしくないという希望である.道半ばであり,また微力ではあるが,そのために行っている取り組みについて触れる.
【課題の認識】自身の経験を振り返るとライフイベントを機に認識された課題としては①外科医としての将来像の白紙化②医師としての存在意義の喪失③手術経験・教育機会の減少④業績の中断⑤自身が感じている課題と上司が考える課題の相違が挙げられた.
【研究会の立ち上げとその背景】課題①②についてはライフイベントを機に早期に外科を離れる一因となり得る.外科医の継続なければキャリアアップもないと思われ,自身のなかでは重要な課題であると認識している.個々の置かれている職場・家庭環境は異なり,ロールモデルの構築は困難と言われているが身近に目標,相談できる存在がいるだけで外科のキャリアを継続しやすい可能性があると感じている.ただし各施設内だけでは限定的なモデルにより多様性を認められない風潮が生まれる可能性もある.このため近隣病院・近隣大学(現在は神奈川県下)で主にキャリアを継続している女性外科医に各施設で行われている取り組みや自体験を発表頂き,さらに共に働く上長の医師(外科部長)を司会として招き,働き方についてディスカッションする研究会を立ち上げた.参加頂いた女性医師には様々なキャリアの医師を知ることで前向きにキャリア形成を見直せる可能性に期待している.また同僚・部長の先生方には女性医師が直面している課題を認識し,各施設の取り組みを共有することで,職場環境改善,同僚との相互理解につながることを期待しており,課題⑤の解決の糸口となり得ると考えている.対象は限定的ではあるが,このディスカッションを契機として外科医が働きやすい環境を整える一助になって欲しいと考えている.
【チームビルディングから課題に向き合う】周囲のサポートもあり現在下部消化管グループとしてのチームビルディングの機会を頂いている.チーム内には女性・男性に関わらずライフイベントを迎えている医師も多い.課題①②だけではなく,課題③④についても向き合う必要性が出てきている.働き方改革も追い風にして,日頃のタイムマネージメントについて紹介する.まだ十分に対応できているとは言えないが,まさにワークライフインテグレーションとして,個々の家庭の事情に寄り添いつつも手術技量・業績を伸ばすことを目標にしている.
【まとめ】経験から得た課題に向きあい,現在取り組んでいるキャリアアップ支援を紹介した.しかし個々によって必要とされる支援は異なり,また時代とともに変化してくる可能性も高く,日頃から多様性を認める姿勢と傾聴を大切に今後の支援を検討し継続していきたい.
自身の経験を通して強く願っていることは,ライフイベントを経験しても「前向きに進路を選択して欲しい」ということである.具体的にはライフイベントを経験しつつも外科医を継続したい医師がいるのであればその助けになるような支援を行いたい,後ろ向きの選択として外科を離れてほしくないという希望である.道半ばであり,また微力ではあるが,そのために行っている取り組みについて触れる.
【課題の認識】自身の経験を振り返るとライフイベントを機に認識された課題としては①外科医としての将来像の白紙化②医師としての存在意義の喪失③手術経験・教育機会の減少④業績の中断⑤自身が感じている課題と上司が考える課題の相違が挙げられた.
【研究会の立ち上げとその背景】課題①②についてはライフイベントを機に早期に外科を離れる一因となり得る.外科医の継続なければキャリアアップもないと思われ,自身のなかでは重要な課題であると認識している.個々の置かれている職場・家庭環境は異なり,ロールモデルの構築は困難と言われているが身近に目標,相談できる存在がいるだけで外科のキャリアを継続しやすい可能性があると感じている.ただし各施設内だけでは限定的なモデルにより多様性を認められない風潮が生まれる可能性もある.このため近隣病院・近隣大学(現在は神奈川県下)で主にキャリアを継続している女性外科医に各施設で行われている取り組みや自体験を発表頂き,さらに共に働く上長の医師(外科部長)を司会として招き,働き方についてディスカッションする研究会を立ち上げた.参加頂いた女性医師には様々なキャリアの医師を知ることで前向きにキャリア形成を見直せる可能性に期待している.また同僚・部長の先生方には女性医師が直面している課題を認識し,各施設の取り組みを共有することで,職場環境改善,同僚との相互理解につながることを期待しており,課題⑤の解決の糸口となり得ると考えている.対象は限定的ではあるが,このディスカッションを契機として外科医が働きやすい環境を整える一助になって欲しいと考えている.
【チームビルディングから課題に向き合う】周囲のサポートもあり現在下部消化管グループとしてのチームビルディングの機会を頂いている.チーム内には女性・男性に関わらずライフイベントを迎えている医師も多い.課題①②だけではなく,課題③④についても向き合う必要性が出てきている.働き方改革も追い風にして,日頃のタイムマネージメントについて紹介する.まだ十分に対応できているとは言えないが,まさにワークライフインテグレーションとして,個々の家庭の事情に寄り添いつつも手術技量・業績を伸ばすことを目標にしている.
【まとめ】経験から得た課題に向きあい,現在取り組んでいるキャリアアップ支援を紹介した.しかし個々によって必要とされる支援は異なり,また時代とともに変化してくる可能性も高く,日頃から多様性を認める姿勢と傾聴を大切に今後の支援を検討し継続していきたい.