講演情報

[CL]日本大腸肛門病学会の現状と未来

板橋 道朗 (埼玉県済生会加須病院)
PDFダウンロードPDFダウンロード
本学会は大腸肛門病学における研究,教育及び診療の向上を図るとともに,国民の健康と福祉に寄与することを目的にしています。この目的達成のため、1940年に「日本直腸肛門病学会」が創立され、1966年には「日本大腸肛門病学会」に改称され会員が領域横断的に活動する学会として発展してきました。
学術集会では先端的な研究から領域横断的なセッションまで工夫を凝らした内容が盛りだくさんです。教育セミナーは会員の利便性と教育効果を鑑みe-learningを取り入れてきました。機関誌は多くの貴重な論文が掲載され、英文誌は2024年JIF値が発表され、1.5に向上、Scopus収載が決定して国際的な認知向上が期待されます。また、本学会が刊行の肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱診療ガイドラインは改訂作業に入りました。
学術の発展にとって国際交流は重要です。欧州、米国、韓国、中国などの学会との連携を深めて、さらなる発展を目指して行きたいと考えています。ESCP fellowshipに加えてASCRSとの間でも同様の交流に具体的検討に入りました。また、若手医師トラベルグラント制度の導入を検討しています。また、若手医師の入会を促進、様々な魅力のある運営を行うことで本学会会員数が増加するよう努めます。さらに、女性会員の育成を促進し、評議員や役員への登用を推進してまいります。
喫緊の課題は専門医制度の日本専門医機構の認定であります。大腸肛門病学会専門医は未だ認定に至っておりません。機構認定の認定基準が未だ明確でない現状ですが、状況によっては、現在のまま学会独自の専門医制度を維持する選択肢もあります。この課題解決に向けてWGを作成、今後も必要性を熟慮し専門医制度の修正や制度の変更を検討していきます。
また、関連する新たな課題として、専門医の診療の質を疑問視する意見があるため専門医の診療の質を証明する必要が出てきました。専門医は、非専門医を比べて治療成績が優れているなど、本学会専門医の診療は質が高く治療成績が良いことをデータで示す必要があります。このような経緯から新たに専門医の質を示すWGを設置して検討に入っています。